2017/05/20

ジェーン・ドゥの解剖 感想~解剖ホラーってドヤ顔で名付けた奴、前に出なさい~【映画レビュー】

◆ジェーン・ドゥの解剖 感想◆


評価/オススメ:★★★★☆


◆synopsis◆

ある一家が惨殺された家の地下に埋められていた裸の美女“ジェーン・ドウ”の死体。
彼女の検死を行うことになった、検死官・トミーと息子のオースティンがメスを入れる度に、
その死体に隠された“戦慄の事実”が判明し、次々に怪奇現象が発生する。
外では嵐が吹き荒れる中、遺体安置所という閉ざされた空間で逃げ場のない恐怖がはじまろうとしていた……

◆comment◆

そうです。そうです。 こういうのがオールドスクールのホラー映画です。 というか、「怪談」ですな。
スプラッターホラーというより、日本の怪談話に近い薄ら寒さを感じるのではないかなぁと。



視覚的な恐怖ではなく、感覚的な恐怖。 
本人の意思ではなくとも、触れてしまった事によって災いに見舞われてしまう。
 (『呪怨』的な絶望しかない状況)
 望まずとも向こうからやって来てしまう厄介事、その象徴的なもの、その極地がこの映画は投影されています。
 例えばそれは・・・・・
 明日から休暇で気分も完全に休みモードに入っていた仕事の帰り際、もう30秒でオフィスから出る直前、あるいは業務用の携帯の電源に指をかけたその瞬間に無情にも鳴り響く、着信を告げるベルのようだ。 
「うわっ!これは…」 
こういうタイミングで相手が告げるのは、ものすごく高い確率で『ウンザリするほど悪い事態』。 
そうした状況をこの作品に重ねて観てください。 
言ってみれば「仕事をしている僕たちの日常」に潜む、恐怖。それがこの映画だ。


肉感的なとんでもないモンスターが襲ってきて、「キャー」と泣き叫ぶというよりは
耳元で何者かの吐く息を感じるけど、振り返ることはできない。

「怖いな怖いなぁ、なんだろうなぁ。。。。絶対後ろ見られないなぁ。。。」

こんなノリです。

だから、まだ作品を観ていない方への注意点を書かせて頂きます。

絶叫系の作品ではありません。そうしたもの期待されてご覧になると、、、、、ちょっとです。

だけど、元来昔から語り継がれてきた類のいわゆる「怖い話」って、この作品が醸し出しているようなものが多くて、

叫びながら襲ってくる怪物<触れてはいけないもの。タブー。

のような図式で「聞く側」の想像力で恐怖が増幅していくものが多かった。




ゾンビやモンスターが身近になったのは、取りも直さず「商業的」に大量に映像化されたからだ。

もちろんワタクシもそういうの大好き。観ます。

でも「実体」を伴って襲い掛かってくるものが相手に感じる恐怖と、「実体が掴めない」ものに迫られる時に感じる恐怖とでは質が違ってきますよね。

この作品、宣伝やらではやたらと「解剖シーン」ばかりがリアルだとかで取り沙汰されているけど、それは物語を構成する一要素でしかありません

舞台設定がそもそも遺体安置所で、主役のふたりが検視官をなりわいにしているのなら、そうした描写に力を入れることは(これだけ虚構と現実の境目を曖昧にするために発達した特殊技術をもつ)現代では外せないところ。
この描写が曖昧だったりすると途端に「なんじゃこれ」と叩かれることは目に見えています。

確かにあのシーンでは(というより、彼らの仕事ぶりを描いたシーンは予告編のカットだけではありませんが)「うわっ」と嫌悪感を抱くだろうし、見るに堪えないと思われる方がいらっしゃるのは当然です。
そこについては本当によくできていると。

ただし、物語の核心である「彼女の身に一体何が起こったのか?」ということを観ている私達が知るために
彼らが検視官として冷静に医学的に説明をしてくれることは導入としては大変説得力があります。

このあたりの説得力についてもっと砕いて言うと、体調を崩して自分で「何かとんでもない病気かもしれない」と深刻に思い悩んでいたものの、かかりつけの医者に「あぁ、念のため検査しますけど、単なる食あたりですね」と軽いノリで言われ一気にクールダウン。下手するとその瞬間から体調が回復していくなんていうところに通じます(⌒-⌒; )

どういうことであれ、専門家に断言されると妙に納得しちゃうものです。(世の中にはヤブという言葉もありますが)

そういう訳で、導入としては観ている側の主観ではなく、彼らによってこの物語の上で同じスタートラインにパンパンっと背中を叩かれながら並ばされる感じになりますな。



というのも、ここで観る側と足並みが揃わないと話が空中分解しちゃうからなのです。(観られた方はお解りだと思いますが)

その意味では「身元不明の変死体が遺体安置所に運ばれてくる」という設定には一本取られたなぁと。

その過程で明らかになる謎。解剖シーンがないと、この物語の謎にはたどり着けないのです。

みなさん、だから解剖シーンを見て感じる恐怖ではなく、解剖の結果彼女に何が起きたのかを解き明かす事で感じる恐怖がこの物語の主題ですよ!!!


激ヤバ解剖ホラーじゃなくて、「解剖によって明らかになる事実がホラー」なのです。



ここまで我慢して細部を目にされた方。おめでとうございます。
ここからが『謎解き編の開始=本番』です。


この作品、全体のトーンからすれば近年の多くのホラー映画の中では控えめな感じを受けました。


それでも無意識に背後を気にしちゃうような、妙〜な感覚に見舞われたのは、製作側の丁寧なシーンづくりの賜物だと考えます。


作品全体を通した色使いや「ん?んっ?」っと覗き込みたくなるようなカメラワーク(特に解剖シーン)、
もちろん、ある程度のお約束もございますです。はい。


決して派手ではなく、やり過ぎな演出も極力抑えていると、かえってちょっとこれヤバイんじゃないの?ってな感じで
「現実味」が増してくるものです。


一言で言うと、
「これって、あり得そう・・・・」と。


あんなことが起きるには、それなりの理由があるわけで。


ジェーン・ドゥ(名無しの女性)と呼ばれた彼女に何が起こったのか?っていうのも十分謎ですが、


どうしてあの日、あの場所で見つかったのか?と、オープニングまで記憶を巻き戻して考える必要が!?


コンパクトな上映時間のお陰で、まぁまぁクドさのない落とし所でエンディングを迎えます。
これが120分作品だと、ちょっと食傷気味だったかも。



いつもの「オイ!!!」というツッコミがあまり出てこない作品でしたが。。。。。
ダディがちゃんと約束したでしょーが!!


とだけ言わせてください。


まぁ、話の通じる相手だったら、このような事態にならなかったんだろうけど(;・∀・)


ジェーン・ドゥの妖しい美しさも、真相にある意味を添えることになります。



2017年映画鑑賞 83本目


◆overview◆


・原題:The Autopsy of Jane Doe 2017年5月20日日本公開
・上映時間:86分
・監督:アンドレ・ウーヴレダル 
  代表作:「トロール・ハンター」
・脚本:イアン・ゴールドバーグ
            リチャード・ナイン

<メイン・キャスト>ブライアン・コックス「ボーン・スプレマシー」
エミール・ハーシュ 「ローン・サバイバー」
オフィリア・ラヴィボンド「ガーディアン・オブ・ギャラクシー」
オルウェン・ケリー


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