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2017/09/23

スイス・アーミー・マン 感想 ~さあ、歌おう!らーらー、ららららーらー~【 映画レビュー】

映画『スイス・アーミー・マン』予告編

無人島で助けを待つハンクのもとに流れ着いた一体の死体。 しかしそれは壮大な冒険のはじまりだった―! ダニエル・ラドクリフ×ポール・ダノ競演! 2016年のサンダンス映画祭で監督賞、シッチェス・カタロニア国際映画祭では最優秀長編映画賞と主演男優賞、 そしてヌーシャテル国際ファンタスティック映画祭では観客賞を受賞!! 数々の映画祭で注目を浴び、話題をさらった『スイス・アーミー・マン』がいよいよ日本上陸! 監督・脚本:ダニエル・シャイナート、ダニエル・クワン(ダニエルズ) 出演:ダニエル・ラドクリフ、ポール・ダノ、メアリー・エリザベス・ウィンステッド 提供:ポニーキャニオン/カルチュア・パブリッシャーズ 配給:ポニーキャニオン 9月22日(金) TOHOシネマズ シャンテ他全国ロードショー http://sam-movie.jp/ ©2016 Ironworks Productions, LLC.



◆スイス・アーミー・マン 感想◆


評価/オススメ:★★★★☆

(この映画に何を求めるかで★の数は無限に変化します)


この作品ジャンルは?:コメディ、ヒューマンドラマ
オススメしたい人は?:『自分』を探しているすべての人
印象を一言で?:らーらー、ららららーらー
グロテスクですか?:お下品で、ちょっと汚らしい。そう思われる方が多いでしょう。



◆synopsis◆



無人島で助けを求める孤独な青年ハンク。

いくら待てども助けが来ず、絶望の淵で自ら命を絶とうとしたまさにその時、
波打ち際に男の死体(ダニエル・ラドクリフ)が流れ着く。

ハンクは、その死体からガスが出ており浮力を持っていることに気付く。
その力は次第に強まり、死体が勢いよく沖へと動きだす。

ハンクは意を決し、その死体にまたがるとジェットスキーのように発進!
様々な便利機能を持つ死体の名前はメニー。

苦境の中、死んだような人生を送ってきたハンクに対し、
メニーは自分の記憶を失くし、生きる喜びを知らない。

「生きること」に欠けた者同士、力を合わせることを約束する。
果たして2人は無事に、大切な人がいる故郷に帰ることができるのか──!?


※公式HPより

◆comment◆


ご機嫌いかがですか?文月陽介です。


さて、2017年は珠玉の作品が多い中で、とても異色な映画が公開されました。


この作品はおそらく『ゲット・アウト』(10/27公開)と双璧を成すであろうイカれた部類の作品です。


このイカれ具合がすごいところは、作品の解釈自体を極めて難しくしている点でもあります。

単なるバカの妄想か、ふざけているのか。

あのポッターくんに『こんなこと』をさせるなんて!とお怒りのレイディもいらっしゃるかもしれませんね。

(「おれれれれれれ」から「にょきにょきーーん」まで。)

ネット上の感想を拝見しても、がっかりした、笑えた/感動した、とまったく正反対な声があがっていて、もしもこれから劇場に足を運ぶつもりで事前情報を見られている方の中は、それらを見て躊躇されるかもしれないですね。


・・・・何を隠そう、文月もエンディングを迎えた後に少々呆気にとられて。


「なんじゃこりゃ?」


もしも頭の上にポップアップでメッセージが表示されるとしたら、
わたしには、「あの怒涛のオープニング」からエンディングまでずっと浮かんでいたことでしょう。


ぽわーんとしたお花畑をずっと眺めていたような。

しかし、しかし、ですよ。

公開初日の鑑賞からまる一日頭をクールダウンしながら本作について、アレヤコレヤと思いを巡らした結果。。。。


この映画は文月としては
「誰もが抱えている心の弱さをさらけ出し、浄化させていくロードムービー」
なのだと解釈しました。



無茶苦茶な例えを承知で書くと、

ものすごーーーーーーーーく明るいテイストの

『世界の中心でアイを叫んだけもの』

(庵野監督のあのアニメの最終回)ですわ。。。
あのアニメファンの方、すんません!


だって、あたくしラストシーンで思わず


「おめでとう」




と、顔の前で両手を軽く組み合わせながら呟いてしまったんですもの。。。。



予告編でも、公式サイトでも、公開前のニュース記事でもさんざん取り上げられているので、ネタバレではないのですが、この物語は世に失望して生命を絶とうとした青年が、偶然にも死体を発見し、その死体のありえない能力によって危機を脱し、交流し、故郷を目指すの過程が描かれています。


ダニエル・ラドクリフ演じる死体は、万能サバイバルツールとしてだけではなく、ポール・ダノ演じる主人公と言葉を交わし、交流し、文字通り『生ける屍』として旅を共にする重要な役割を果たします。

すべては、この「メニー』と名乗る死体とは一体何であったのか?

ここを観る側がどう解釈するかが鍵となります。

「おめでとう」

そう呟いたわたしは、おそらく、好意的に作品を飲み込めたのだと思います。



わたしがキーボードの前で硬直してしまったのは、メニーどう受け止めればいいのかに戸惑ったからなのです。



別作品になるのですが、『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(2013)




に登場したトラのように、メニーとは何か別のものであると。

うーん、と唸っていたのですが、


結論はやはり、



苦境の中、死んだような人生を送ってきたハンクに対し、
メニーは自分の記憶を失くし、生きる喜びを知らない。
「生きること」に欠けた者同士、力を合わせることを約束する。


と公式サイトに書かれた言葉どおり、
主人公の「自分を見失っている姿」がラドクリフくんなのでしょう。

メニーは劇中のさまざまな場面で主人公を助けるサバイバルツールとして活躍(このあたり、ドラ○もん的に見えるのは日本人だからでしょう)するのですが、実はそれこそが、

「自分自身の隠れた可能性」

を暗喩しているのだと文月は想到して、ようやく腑に落ちました。


―自分にはまったく価値がない、何もできない。

物語はポール・ダノが無人島で首に縄をかけるところから始まります。
これを額面通り受け止めるのではなく、
主人公が観ている(思い込んでいる)心の風景だと捉えたらどうでしょう?


つまり

この作品の風景、出来事はすべてポール・ダノ演じるハンクの心の中で巻き起こっていて、ある若者の迷いと葛藤、そして再生と浄化を無駄に壮大な演出で(笑)描いている

と文月としては消化したのです。


心の風景とは、結局のところその人の現実を映し出すものですから、心が灰色だと見るものすべてが同じ色に見えてしまうものです。


流れ着いた死体であるメニーはそんな自分の姿の象徴であり、お下品で腹を抱えてしまうような驚きのギミックも、AIアシスタントとの会話のようなやりとりも、前者は若者らしいノリと勢い、後者は素直になれない不器用な自分の本心をストレートに表現している。

そうだとするならば、トンデモ展開にも妙に合点がいくのです。

無人島から森にたどり着き、その森のなかで迷い、それでも自分の意思で家に帰えろうとし(=自分を受け入れる)、通過儀礼として現実を知り(彼の場合は両親との関係と初恋)、
最後に過去の自分と決別をする。

誰もが通る「あの道」をここまでストレートに描いた作品はなかなか魅力的です。

そういう訳で、

「いやー、なんだか意味わからんし、つまんないねー」

とバッサリしてしまうには、惜しいのではないかなぁ。

終着点を迎える過程がもどかしく、それでいて馬鹿げているのだけど、誰にも打ち明けることができない人の心の内側って、彼らが96分の旅路で見せてくれたものと、大差ないのではないのでしょうか?

ただしこの物語のように、

過去の自分も、もうひとりの自分も、

「自分の一部」であって、

捨て去るのではなく、

「還してあげる」

という非常に大切で忘れがちなことを、見つめ直してみるのも必要なのでしょう。

今の自分も過去の自分も、ともに完全ではありえない。

結局のところ生きることは、大小様々な過ちとどうにか折り合いをつけ続けることなのかも知れません。


「おめでとう」


2017年映画鑑賞 155本目


次回更新予告:『ドリーム』(予定)にわたしは夢を託すのです!!!


◆overview◆

・原題:Swiss Army Man 2016年アメリカ公開
・上映時間:96分

・監督・脚本:
ダニエル・シャイナート
ダニエル・クワン
代表作:『Interesting Ball』(2014)

     
・メイン・キャスト
ポール・ダノ
ダニエル・ラドクリフ
メアリー・エリザベス・ウィンステッド


2017/05/05

荒野はつらいよ アリゾナより愛をこめて 感想~これ、やりたかったんだろうなぁ~【映画レビュー】

[映画感想]


◆荒野はつらいよ~アリゾナより愛をこめて~ 感想◆

評価/オススメ:★★★★★
(下ネタがダメな人は★ひとつ)

(原題:A Million Ways to Die in the West)2014年公開
上映時間:116分

・監督:セス・マクファーレン
代表作:「ted」「ted2」
・脚本:セス・マクファーレン
    アレック・サルキン
          ウェルズリー・ワイルド

★出演者★
セス・マクファーレン
シャーリーズ・セロン
アマンダ・セイフライド
ジョヴァンニ・リビシ
ニール・パトリック・ハリス
サラ・シルバーマン
リーアム・ニーソン

◆summary◆


監督/脚本はご存知セス・マクファーレン。
ワタクシ、個人的には彼のノリってすごく好きです。
もちろん、tedも大好き。
セス・マクファーレンが演じるtedが好きです。
tedに関して言えば、吹替と本人の声にギャップ有りすぎだと思いますΣ(´∀`;)

この作品ってそんなノリの延長線上で「単にやりたかっただけだろ!!」ってな映画です。
ただし、tedに比べればドギツさが若~~~干、緩和されて、男だけならケラケラと自然に笑ってしまうような仕上がりになっています。
このぐらいならカップルでも観られるかも。保証はしません。

この映画を観て、う~むぅと考え込むような人はあまりいないと思いますよ。
そういう意味では「誰も傷つかない無害な映画」とも言えます。

尊敬する作家の故伊藤計劃氏も言っているように、日本にとってすごく近くて遠いファンタジーとしての異世界が「明治/大正/昭和(計劃氏は昭和と言及)」であるように、アメリカにとってのそれは「西部開拓時代」ですね。
これがでは幕末ではないところ、アメリカ独立戦争時代ではないところが妙とも言えます。なぜならそれ以前の時代とはすでに「歴史」だから。

皮肉なことに、マカロニ・ウエスタンの傑作はアメリカ人以外の手によって、アメリカ以外で撮影されたりもしている。
そもそもマカロニ・ウエスタンという言葉(正しくはスパゲッティ・ウエスタン)それ自体が「非アメリカ製」だと物語っています。(イタリア製西部劇)

という訳で、西部劇ってもうファンタジーの要素を振りかけられたパスタなんです。
そこでは何を描いてもファンタジーになる。
社会風刺でも、夢と希望の物語でも、教訓話でも、いろいろな題材を大げさに使える舞台になっているのです。

もちろん、パロディも。

◆comment◆


公開から3年経って、ようやく鑑賞です。
見逃し映画多いなぁ。
これ、確か何かの映画を劇場で見た時に予告編が流れて、絶対観たいと思っていたんです・・・あっという間にレンタル旧作。

注意!恋人と観ると真面目な彼女なら引くかも(笑)
特に付き合い始めのカップルは、確かに部屋でくつろぎたいからといってコメディを選択するのはありだけど、この監督の作品はやめておけ!
(tedもね。tedの見た目に騙されるな!ワタクシも開始数分で後悔し、エンディングまで冷や汗モノでした)
もちろん家族で食卓で観るには不向き。
学生の諸君なら100%お母さんから
「何なの!?この変な○○○ばっかり言ってる映画!!!」って言われるぞ(キリッ)
PTAの敵、下ネタ全開のアメリカンコメディです。

ワタクシなんかはアメリカンコメディというと、エディーマーフィーが自動的に頭に
浮かぶ世代なんですが、、、(もちろん、吹替は下條アトムさん)
ここのところのアメリカの映画やドラマで見聞きする下ネタって、かなり過激ですよねぇ。エディー・マーフィーのマシンガントークでも、モロな言葉はそんなに言ってなかったような記憶が。。。
あ、あの頃観てたのはほとんど吹替じゃん!
下條さんもそこまで言わないじゃん!
こ、これが若さか・・・というより、こ、これが時代か!?って感じですねぇ。

セス・マクファーレン演じる主人公は「生まれる時代」を間違えたような典型的なダメ男の羊飼い・・・
西部開拓時代を生き抜くには優しすぎるし、腕力よりもしょーもない口撃の方が得意だ。
もちろん、銃の腕前もからっきしダメ。
セス監督、いい顔してるなぁ。
冒頭のシーンで観たときなんて、主人公ではなく脇役かと思ったもんだ。

物語が始まって数分で(というより予告編でも)、タイムスリップでもしたのかなぁと疑ってしまうほど。。
コメディ番組の司会ばりに喋る喋る。
話題もこの時代からすると浮き過ぎだってばよ!って位に。
未来人の空気プンプンと。
とは言え、彼は期待を裏切ってあくまでも西部開拓時代の人でした。

他の方のレビューも何も一切読まずにガチンコでこの映画を観たワタクシとしては、観る側のスタンスを整理するのに10分くらいはかかりました。

でも、ドクがいるんだもん!!!!予告編で映ってるんだもん!!

おいおい。
あぁ、そうか、この作品はこういう感じか。
カメオ出演者を探せってか!!!!

ともあれ、ワタクシ達を物語の中に連れて行ってくれるのは、この芸人・・・・じゃなかった羊飼い。

その彼がある夜にバーで始まったケンカの際に偶然助けた美女との出会いが、口から先に産まれたような男の運命を大きく変えていくのです。

といっても、主人公のド庶民振りからするとゆるーーーーーく成長していくのですがね。
それがヒーローなんかじゃないワタクシにはグッと共感できるところでもありました。

スーパーヒーローな主人公に憧れるよりも、ダメな彼に共に寄り添いながらこの物語を進んでみませんか?

それにしても、この出演陣の豪華さはなんだ!!!


シャーリーズ・セロン
「イーオン・フラックス」(2005年)
「プロメテウス」(2012年)
「マッドマックス怒りのデス・ロード」(2015年)→言うまでもなく(笑)
など

リーアム・ニーソン(怒れるお父さん)
「シンドラーのリスト」(1993年)
「スターウォーズ ファントム・メナス」(1999年)→クワイ=ガン・ジン!!
「キングダム・オブ・ヘブン」(2005年)→これも何度も観てます♫
「ダークナイトトリロジー」(2005年~)
「96時間」(2008年~)など

アマンダ・セイフライド
「マンマ・ミーア」(2008年)
「レ・ミゼラブル」(2012年)
「ted2」(2015年)
「パパの遺した物語」(2015年)→あぁ、ポテトチップス。号泣しました。

ジョヴァンニ・リビシ
「プライベート・ライアン」→ご存知!!ウェイド伍長
「ted」「ted2」(2012年・2015年)
「ハード・ラッシュ」(2012年)
そしてAmazonオリジナル「スニーキーピート」(2017年)!!

ニール・パトリック・ハリス
「天才少年ドギー・ハウザー」(1989年)→あぁ、懐かしい
「スターシップ・トゥルーパーズ」(1997年)
「glee」(2010年)
「ゴーン・ガール」(2014年)

サラ・シルバーマン
「スクール・オブ・ロック」(2003年)→最高!!
「レント」(2005年)
「シュガー・ラッシュ」(2012年)

冴えない男でもいい。頼りなくても良い。心なんだよ。そうすれば幸せは突然やってくるんだよ。
なんて、村上春樹かい!!とそこまでは言いませんが、セス監督とシャーリーズ・セロンのロマンスには夢がありますなぁ。。。。

夢を捨てちゃいけませんな。幸せは近くになるんですな。
ま、シャーリーズ・セロンは絶対に身近にはいませんがΣ(´∀`;)

カップルの愛の形、という解釈でこの映画を観るならもっと楽しめるのだろうな。
主要人物たちが織りなす都合5組の恋愛模様。
どれも無駄になっていない。活かされているし、素直に笑える。

あぁぁ、というわけで、夢を捨てないワタクシも酒場でケンカ起きないかなぁなんて、近所に唯一あるバーにちょっと寄ってみながらシャーリーズ・セロンを想う日々です。


「でもワタクシ毎日バーなんて通えないわ!!!こちとら独身貴族卒業した途端に小遣い制だわ!!!ジントニック最高だけど1杯700円なんておいそれと出せんわ!」


予告編にも出てきたドク(ブラウン博士)だけではなく、あんな人やこんな映画のこれ絶対にやりたかっただけだろ!!ってオマージュがいろいろな所に見受けられて、目にも優しいですよ♫(ヒロイン以外でも)

確かにお下品だし、中には酷評しているようなレビューも見えますが、これはお酒を飲みながらたくさん笑って疲れを取る、次の日がお休みの夜なんかにオススメしたいそんな1本です。

2017年映画鑑賞 75本目

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第7並行世界のユートピア

物語の海に溺れる中で、フレーズ、イメージを繋ぎ合わせて生まれた短いストーリー達を文月陽介が書き留めます。 特定のジャンル、モチーフにこだわらずに、ひとつひとつの物語を紡いでいます。 ※筆者の気まぐれにより不定期更新です。

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