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2017/10/07

アウトレイジ最終章 感想 ~群れを離れた狼の悲哀~【映画レビュー】

映画『アウトレイジ 最終章』本予告【HD】2017年10月7日公開

全員悪人 全員暴走 《関東【山王会】 vs関西【花菱会】》の巨大抗争後、大友(ビートたけし)は韓国に渡り、日韓を牛耳るフィクサー張会長(金田時男)の下にいた。そんな折、取引のため韓国滞在中の【花菱会】幹部・花田がトラブルを起こし、張会長の手下を殺してしまう。これをきっかけに、《国際的フィクサー【張グループ】 vs巨大暴力団組織【花菱会】》一触即発の状態に。激怒した大友は、全ての因縁に決着をつけるべく日本に戻ってくる。時を同じくして、その【花菱会】では卑劣な内紛が勃発していた......。 『アウトレイジ 最終章』2017年10月7日(土)全国ロードショー 公式サイト:http://outrage-movie.jp/ ビートたけし 西田敏行 大森南朋 ピエール瀧 松重 豊 大杉 漣 塩見三省 白竜 名高達男 光石 研 原田泰造 池内博之 津田寛治 金田時男 中村育二 岸部一徳 監督・脚本・編集:北野 武 音楽:鈴木慶一 配給:ワーナー・ブラザース映画/オフィス北野 ©2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会


◆アウトレイジ最終章 感想◆


評価/オススメ:★★★★★
(3作品を通しての評価になります)


この作品ジャンルは?:
クライムサスペンス

オススメしたい人は?:
全ての働くサラリーマン

印象を一言で?:
今作は『ドラマ』・・・だとっ。

グロテスクですか?:
今回は北野バイオレンスが極めて控えめです(注意:過去2作比)
それでもやることはやっています(笑)

過去の作品は観るべき?:
「アウトレイジ」、「アウトレイジ・ビヨンド」あっての、アウトレイジ最終章です。是非まだご覧になっていない方は地上波などで描写がカットされていない完全版を鑑賞してから足を運ばれると良いでしょう。


◆synopsis◆


山王会と花菱会の巨大抗争後、大友は韓国に渡り、日韓を牛耳るフィクサー張会長の下にいた。

そんな折、取引のために韓国に来た花菱会幹部の花田がトラブルを起こし、張会長の手下を殺してしまう。

これを発端として国際的フィクサー・張グループと巨大暴力団組織・花菱会が一触即発の状態となってしまう。

発端となった事件に激怒した大友は、全ての因縁に決着をつけるべく日本に戻ってくる。

時を同じくして、その花菱会では内紛が勃発していた・・・

※公式HPより

※ネタバレ防止に付き、一部文月加筆訂正


◆comment◆



本日、2017/10/7より公開です。

文月はアウトレイジ、アウトレイジ・ビヨンドともに年に数回は観直すほどにこのシリーズが好きなのですが・・・・

・・・・うむむ!?

本作は『怒号の応酬』も『北野バイオレンス』もとても控えめ。

複雑に交錯したドロドロの人間関係の中で誰がいつ殺害されてしまうのか?
そういう方面でとてもハラハラしてしまう、シリアスな『ドラマ』になっていました。


「やぁってやっから、道具持って来いコノヤロ!」

「ウチの若いのよくも『取って』くれたなコノヤロー」


「口開けこの!治してやっからよ」

「指出せオラーーーーー!バズン!!!」

「舌出せ!出せって言ってんだろ!」

「おい『道具』出せ!」

「やれ!チンピラ!撃てよ!」

「オイ、舟木。テメェも同じようにしてやるからよ、見とけコノヤロ!ぎゅいーーん!」

「おい、元の親分の所行こうぜ・・・。あ?『大友さん』だろコノヤロ!」ドゴッ!


「野球しよっか?」

など、伝説的な台詞と極端なまでの暴力描写で世間を騒がせたアウトレイジ。

この台詞で、シーンが連動されたア・ナ・タ。
フリークですねぇ。

アウトレイジ、アウトレイジ・ビヨンドは言ってみれば『バイオレンス』を娯楽にしてしまった北野監督独特のブラック・ユーモアたっぷりの作品でした。

わたしがこの作品をものすごく好きなのは、

「組織、社会、コミュニティ」

という、利害や力関係が発生する場所で生きなければいけない人の悲哀が凝縮されているからです。

つまり、アウトレイジという作品は『ヤクザ』というアイコンに収められた『社会風刺』なのです。

どこか自分とは関係ない場所の話ではないのですぞ。

キャッチコピーの「全員悪人」というのは実はすごく深くて、
「観ているあなたは果たして善人ですか?」と問いかけられているのです。

黙々と上からの、そして組織から受けている義理を通す人。

自分の出世や責任逃れのために、誰かを利用する人。

笑顔で接しておきながら、実は裏で別のやつと繋がっている人。

上の指示という言葉を大義名分にしてなんでもやる人。

虎視眈々と相手を蹴落とすことを狙っている人、狙われている人。

そして犬ころの様に誰かを慕い、信じてついてくる人。

このアウトレイジ3部作に登場する人物はもの凄くコミカルにデフォルメされた悪人達です。

そして、自分を、自分のまわりをよーーーーく、目を凝らして、冷静に見つめてください。

多かれ少なかれ、登場人物のキャラクターや、立ち振舞い、考え方、価値観が重なって見えませんか?

いやいや、そんなやつはいないよ。

そう言える人が果たして何人いることやら。

これは皮肉でもなんでもなく『生きていくって、そういうもの』なのだとわたしたちにノックしている北野武監督からのメッセージなのです。

彼らの放つ怒号、応酬、暴力が観ている側をどこかスッキリさせるのは、取りも直さず

普段自分が抑えてできないことを代わりにやってくれているからですわ。きっと。


――そんな訳で、最終章と銘を打たれた本作ではどれだけ「スッキリ」できるのか(オイオイ(汗))を期待してスクリーンに向かったのですが・・・・


本作は暴力ではなく
「群れを離れた一匹の狼(=大友)の悲哀」
がメインのお話になっていました。

あんまり痛くないので、門戸が広まったかも(笑)

北野監督が「バラバラに見えているけど、3つでひとつの作品」と公開前のインタビューで答えていました。

本作のメインテーマは「ケジメ」なのです。

起承転結の「結」

そして見えてきた「大友」という男は、過去の北野作品で描かれた「不器用だけど懸命に生きる男」達と共通している、かっこいい男だったのです。


まず、本作を楽しむためには登場人物達が置かれた状況と主要な人間模様を知ったほうが良いでしょう。


◆大友が属する「張グループ」

(画像クリックで拡大されます)



◆そして今作で敵対するご存知「花菱会」

(画像クリックで拡大されます)



※ちなみに、ピエール瀧さん。
本作でのコメディ部分というか笑える要素はほぼ彼に集約されています。
大島渚監督の『御法度』のトミーズ雅さん並にいい味出してます。


◆過去作からの因縁の関係はこちら

(画像クリックで拡大されます)



◆大友という男が背負った『ケジメ』

そして、本作では過去の作品への配慮も忘れていません。
「ケジメ」とはアウトレイジ・サーガ全体へのケジメなのです・・・

(画像クリックで拡大されます)



◆大友を慕う若い衆

大友という男には不思議な魅力があって、作品全てに彼を強烈に慕う若い衆が登場します。
しかしながら、その若い衆達の末路も作品の熱度を上げる強いエッセンスになっていました。

(画像クリックで拡大されます)



これが作品のフレームになります。

・アウトレイジ最終章を楽しむポイント①


ますは「舎弟愛」というが本作品の見どころです。

大森南朋さん演じる本作の若い衆である「市川」。

文月としては、この市川は過去椎名桔平さん演じた「水野」、中野英雄さん演じた「木村」、ふたりの良いエッセンスを見事に受け継いだとても好感が持てる新キャラクターだったとえらく感激しましたわぁ。

激しすぎず、前に出すぎず、ひたすらに大友に従う姿がもう・・・・

それだけではありません。
悪人ながらも縦の主従関係がしっかりとしているのは、大友と市川だけではないので、
各シーンでどのラインが絡み合って動いているのかが解るととても楽しいです。

それでも、親子でも兄弟でもないのに、大友という男に惚れ込んだ市川の真っ直ぐさは萌え要素の重要な一つです。

大友と市川に共通するのは「息が詰まりそうな組織の枠より、自分の信念を通す」生き様でした。

自分がここまでできるのか?と自問自答してしまうほどの・・・


まぁ、語弊があるでしょうが、コジマプロダクションの小島秀夫監督が独立した時に集った人たちを観ているような気持ちになりました(小声)下記、リンクを貼ります。

わたしだって、ゴミ掃除係でもいいので馳せ参じたいのですが、無理だなぁ。

・アウトレイジ最終章を楽しむポイント②


『裏切り』の連鎖

冒頭でアウトレイジ最終章にハラハラさせられたと書きましたが、それは『一体誰を信じたら良いのか、大友の思惑すら解らない』ところにあります。

単純に「張グループ vs 花菱会」という構図ではないのです。

花菱会も一枚岩ではない、そして花菱会に後見されている山王会も、大友が属する張グループでさえも、しょーーーもないエゴが渦巻くドロドロの人間模様を展開します。

このあたりは北野監督お得意のコントを観ているようで、実際の鑑賞中もみなさん所々で笑い声が上がっていました。

解っちゃいるけど笑ってしまう、古典落語の境地ですな(笑)

しかし、ラストシーンを迎えるまで、誰がどの瞬間に「生命(タマ」取られてしまうのか全く油断できませんでした。

誰もが同じことを考えていて、状況をどれだけ自分の有利に持っていくか。

人間関係も、仕事も、極端な話ですとこれの繰り返しです。

その意味で、裏切りの連鎖とはフィクションの中でだけ展開するものではありませんぜ。


・アウトレイジ最終章を楽しむポイント③


それぞれの「ケジメ」

大友、張グループ、花菱会、山王会、警察と今回の事件を決着しなくてはならないのです。

互いに納得できる着地点、いわばそれぞれが落とし所をどこにするか、その腹の探り合いは内紛をコントロールしている誰もが考えて行動しています。

北野監督が描く美学とはあるひとつのベクトルに一貫して向けられていて、それが作品に漂う悲哀を一層深めているのですが、
本作品ではさらに、
それぞれが落ち着く所に落ち着いて
「一番悪い奴が天下を獲ったように見える」
収め方は、いずれまた悲劇は繰り返すのだろうとちょっぴり続編を期待してしまうような気分にさせますな。

でもアウトレイジ、アウトレイジ・ビヨンド、アウトレイジ最終章と3作品全てを観ている人はもちろんのこと、北野作品を愛している方ならば後半でピンと来る方も多いかもしれません。

アウトレイジというひとつの物語に「ケジメ」をつけるのであれば、
どうしようもなく決定的な終わりを迎える必要があるのでした。

群れを離れた狼の最後の咆哮を、是非ご自分の目でお楽しみください。

わたしはラストカットでどうしようもなく切なくなりました。


2017年映画鑑賞 165本目

◆overview◆


・原題:アウトレイジ最終章 2017年公開
・上映時間:104分
・監督:北野武
代表作:『brother』『ソナチネ』
・脚本:北野武
     

・メイン・キャスト
ビートたけし
西田敏行
大森南朋
ピエール瀧
松重豊
大杉漣
塩見三省
白竜
名高達男
光石研
原田泰造

 
  [映画感想]

2017/09/09

ダンケルク 感想 ~逃げるもの、追うもの、そして救うもの~【映画レビュー】

[映画感想]

映画『ダンケルク』本予告【HD】2017年9月9日(土)公開

世界が嫉妬する才能ノーラン監督が実話に挑む究極の映像体験。 アカデミー賞®最有力!全米興収ランキング2週連続NO.1!『ダークナイト』『インセプション』と、新作ごとに圧倒的な映像表現と斬新な世界観で、観る者を驚愕させてきたクリストファー・ノーラン監督が、豪華アンサンブルキャストと共に、史上最大の救出作戦の実話を描く、最高傑作が誕生! ...



◆ダンケルク 感想◆


評価/オススメ:★★★★★
(人を選ぶかもしれませんが、オススメしたい作品です)


この作品ジャンルは?:スリラーです。
オススメしたい人は?:泣きたい人、日々ちょっとお疲れな人
印象を一言で:予告編と本編は別物!

グロテスクですか?:グロテスクな描写はほぼないです。

◆synopsis◆


フランス北端ダンケルクに追い詰められた英仏連合軍40万人の兵士。
背後は海。陸・空からは敵――そんな逃げ場なしの状況でも、生き抜くことを諦めないトミーとその仲間ら、若き兵士たちの姿があった。

一方、母国イギリスでは海を隔てた対岸の仲間を助けようと、民間船までもが動員された救出作戦が動き出そうとしていた。
民間の船長らは息子らと共に危険を顧みずダンケルクへと向かう。
英空軍のパイロットたちも、数において形勢不利ながら出撃。

こうして、命をかけた史上最大の救出作戦が始まった。
果たしてトミーと仲間たちは生き抜けるのか。
勇気ある人々の作戦の行方は!?

※公式HPより

※一部文月加筆訂正

◆comment◆


2017/9/9 本日から日本劇場公開です。

いい意味で、予告編に裏切られました。
クリストファー・ノーランのインタビュー以外はほとんど情報を見ることなく、
いってみれば出たとこ勝負で劇場に向かいました。

昨日見たのは、小島監督との対談。
Twitterでも呟きましたが、こちらの記事です。(シネマトゥデイ様)

※シネマトゥデイ様のページに飛びます。

結果・・・・
アメリカンスナイパー以来の、上映中に感涙にむせぶ事態に見舞われ、驚きでした。

この映画は戦争アクションではなく人間の物語。
そして決断の物語。
そして無数のドラマがあったであろう史実をひとつに凝縮した非常に濃い作品でした。

google先生に質問してみても「スリラー」と表示されるのはごもっともなのでした。

それこそ「プライベート・ライアン」の様な展開を期待していた、
つまり『タイトルと予告編だけ観て勝手に想像を膨らませていた文月』は、
本当に驚愕してしまったのです。

戦わない、、、、だと。

それをもって期待外れだと言う気は全くございません。

銃を構えてやりあうのではなく、生き残るため、そして救うための行動は
こんなにも心を揺さぶるのか?という感激が
クライマックスの「あの瞬間」で涙に変わった
のだとわたしは考えます。

あ、でもめちゃくちゃ熱い展開は空からやって来るのでご安心を。

まさに「天使が舞う空」

わたしが胸躍ったのは「彼ら」の勇気と決断に寄るところが多いです。


これから劇場に行かれる方も多いでしょうから、
ネタバレにならないように気をつけながらご紹介します。


ひとつ。
あえて言うのであれば、本作に主役はいません。
「ブラックホーク・ダウン」ほどではありませんが、
それぞれの視点を象徴するために主軸となる人物が配置され、
それが異なる時間軸でめまぐるしく入れ替わりながら、
「あの瞬間」
に向けて走り出すのです。

ん?ん?

まったく何の説明もなく、観る側は「ダンケルク」という世界に放り出される形になるのです。

不安。わたしが最初に感じたのは不安でした。

ダンケルクの戦い、という状況を理解されてご覧になる方も大勢いると思いますが、
おそらく「え?なにこれ?何が始まったの?」と混乱するのでは?と。

しかし、それが製作側の狙いだとわたしは考えます。

明確な目的を持って進撃する攻勢側と、戦線が崩壊し撤退していく側とでは、
情報量もその正確さも圧倒的に差が出てきます。
とくにこの時代は。

観客のわたしたち以上に物語の中の彼らは「訳の分からない状況」の中で、
「逃げること」そして「救うこと」を強いられるのです。


それを観る側がその状況を「追体験」するために、
くどい説明などなしに彼らと同じ目線に立たせることで、
どういう立ち位置でこの作品に入り込めば良いのかを教えてくれます。

わたしたちにシートに、あるいはテレビの前に座っているだけではなく、
一緒に体験させたい。

「#ダンケルク体験」というタグでSNS上に情報が溢れていますが、そういう意図があるのかなと。

(近作だと例えば「マッドマックス/怒りのデス・ロード」なんかと同じ状況になる訳です。これもまさかのトム・"マックス"・ハーディ!!!)

→文月の過去のレビュー:


ノーラン監督。
「インターステラー」なんかでは、よくよく状況を整理してくれたのですが、
今作では「自分で考えろ」と言わんばかりの展開に戸惑う方もいるかもしれません。


でも、救いがあります。

この作品はクライマックスに迎える「ある瞬間」を、
異なる視点、異なる時間軸で追いながらも、
気がつけば最後はしっかりとひとつに収斂されていき
まさに『着地』してしまうのです。

*ご覧になった方だけは、着地の意味を解ってもらえると思います。


すべての場面の意味が「あ!」という驚きとともに理解できる。
観る側が発見できるそんな喜び(まぁ、押し付けるなよ、と言われそうですけど)

なんて丁寧な作品なのかと、唖然としました。


とは言え初見だと「え???」と混乱される方もいらっしゃると思います。

そういう訳で、文月の記憶を頼りに物語の構成を一旦整理します。
(興奮状態で書いていますから、記憶違いはお許しを(笑))

物語の主軸は言わずもがなのダンケルクからの撤退。

ダンケルクの戦い(Wikipedia)

本作は「逃げるもの」とそれを「救うもの」の2つの立場から、そして3つの視点で物語は展開します。


●視点①
逃げるもの・・・ダンケルクまで撤退してきたある陸軍兵士の視点


※フィン・ホワイトヘッド(トミー)



※アイナリン・バーナード(ギブソン)



※ハリー・スタイルズ(アレックス)

このパートは彼ら3人の兵士を中心に展開していきます。


****

―――Introduction
疲れ切っていた。

横に並んでいる同じ小隊の面々も、警戒姿勢なんかどこかに放り出したみたいに忘れていて、農園に突き刺さっているカカシみたいに棒立ちのままで通りを進んでいる。

明るいというのに僕たちを取り囲んでいる建物には人の気配なんて少しも感じなくて、
ひょっとしたらコレはきっと自分は夢を見ていて、重くのしかかる疲れも、
そして絶望も、幻なんじゃないか。

そう思った。

ひらひらと舞い降りてくる白い何かが目に入った。雪なんかではない。
ましてや天使の羽根なんかでもない。
天使なんていない。

ちょうど目の前に降りてきたそれを掴んでみる。

よく見るとそれはビラだった。
そには真っ赤なインクが中心だけ塗り忘れたようにポッカリと空いている
下手くそな絵が書いてあって「包囲したぞ、降伏しろ」と英語が打ち込まれている。

僕は他人事みたいにそのビラをポケットにしまい込む。
そうすることで、現実が消えてなくなるとでも言うように。

何かが破裂したような大きな音がした。

そしてうめき声。

反射的に首にギュッと力が入ってとても不快な感覚が背中を伝って全身を硬直させる。

銃撃―。

声をかけあう暇も与えられず倒れて動かなくなる仲間。

誰が、どこで、どういうことになっているのか。

そういうことを気にかけることもできないくらい、僕は、僕たちはみな、
追い詰められていた。

必死に通りを駆け、塀を、門を乗り越えて身を隠そうとする。

ライフルすら手放した僕は、その音から逃げることだけしかできなかった。

気が付くと視界が開け、街が消えた。

海。そして無数の黒い線。兵士たちが頭を垂れて海に向かって並んでいる。

そう。ここはダンケルク。追い詰められた僕たちが見つめるその先に「母国」はうっすらと霞んで見えた・・・・

~文月の回想による散文~



●視点②
救うもの①・・・ダンケルク撤退を支援するために派遣されたある空軍パイロットの視点


※トム・ハーディ(ファリア)
※わたしはむしろ彼だけで2時間作品を作って欲しいと思うぐらい、感情移入してしまいました。


※ジャック・ロウデン(コリンズ)
※コールサインは「サマセット???」だった気がしますが、記憶違いでしたらそっと教えて下さいね♫

このパートは彼ら2名の若きパイロットたちの視点で展開していきます。



//////

―――Introduction
「カレーまで飛んだほうが近い」
試しにそう言ってみたが無駄だった。

嘘みたいに透き通った青の上に浮かぶ3つの陰。

スピットファイア3機のデルタ編隊。

・・・たったこれだけで「あそこ」向かえだって?アホか!」
と飛び立つ前に声が聞こえた。

まったくクレイジーだ。

そう、クレイジー。

クレイジーなのは当然で、それを承知でするのがオレたちって訳で、
それをいまさら云々する気はサラサラないね。

飛ぶこと、そして戦うこと。オレができること。

そして『今』この事態の中で、オレが、オレたちができること。
それができる立場にあるのだから、やる。単純だと笑うやつもいるだろうけど、
それでいいんだ。世の中のほうが物事を難しくしているんだとオレは思う。

燃料たっぷり70ガロンある。

大丈夫。還ってこられる。
いや、迎えにいける。

―――――!

「11時、敵機(Tango)!」

腹の奥が震えるような大きく低い爆音がオレたちの上をかすめて行く。

メッサーシュミットBf 109。2機。

反射的に操縦桿(スティック)を引き倒してブレイク。

後方視認用のミラーと目の前の計器、そして僚機をそれこそ目が回る速さで追っていく。

捉えたメッサーシュミットは背中に覆いかぶさるような勢いで僚機に喰いついて離れない。

「オレが行く」

トリガーに指を掛けながら僚機に呼びかける。

たどり着いてみせるさ・・・・オレたちの他にあの場所に向かう友軍機はない。

今のところは・・・

~文月の回想による散文~




●視点③
救うもの②・・・同じくダンケルク撤退を手助けするため、善意でイギリスの港からダンケルクへと向かった民間人の方(を代表してある壮年の船長親子の)の視点


※マーク・ライランス(ミスタ・ドーソン)


※トム・グリン=カーニー(ピーター)
※ドーソンとピーターは親子という設定です。


※バリーコーガン(ジョージ)

このパートは彼ら民間人3人の視点で物語は展開していきます。




//////

―――Introduction
頑固者のオヤジは一度決めたらやめることを知らない。

「荷物を運び出せ」

ある朝顔を見るなり、オヤジは港まで僕を連れ出して船の調度品を出すように言った。

何をしようとしているのかを、僕は知っている。

多くの民間の船が政府に徴用されるんだ。

「どうして海軍の船を使わないの?」

当然そんな疑問を口にしてしまう。

「海軍の船が沈められたら、誰が『ここ』を守るんだ?」

オヤジは黙々と船の整理をしている。

どこからかオレンジ色した小袋が大量に桟橋に運び込まれてくる。

ウチの船の前にもそれは積み上げられて、やがて山になった。

―救命胴衣。

「お前はここに残っても良い」

とオヤジは言うだろう。

もしもそう言われたら、NOと言い返すつもりだ。

オヤジをひとりにすることはできないし、僕だって男だ。そして兄さんとも約束した。

ふと、船に近づいてくる人影があった。

ジョージ。人懐っこい笑顔を浮かべた、ひょろひょろジョージ。僕の一番の友人だ。

「何をしているんだい?」

「お前も手伝えよ」

オヤジはジョージを見て、ほんの一瞬表情を曇らせた。ジョージが嫌いだからじゃない。

バカをやるのは自分たち大人だけで十分だと思っているからだ。

「もやいを解け」

ジョージにオヤジは声をかけると、エンジンに手をかけた。

水兵がこちらに向かってくる。

「オヤジ!海軍の人たちが」

「この船の船長はわたしだ」

オヤジは舵を切って桟橋から船を離していく。

と、船にジョージが飛び乗ってきた。

「ジョージ!これからどこに行くのか解っているのか?」

「フランス。ダンケルク。戦場だろ?」

オヤジは肩を竦めてエンジンの出力を上げた。

もう何も言わなかった。水平線の先に薄く見える陰。そこに何が待っているのか、
きっとオヤジでも解らない。

~文月の回想による散文~

・・・・・と、まぁ、こういう導入です。
すみません。ちょっと、書きたくて、書いてしまいました(汗)



そして忘れてはいけないのが、絶望的な状況の中を
『立ち続けること』で「精神的支柱」となっていた陸海の指揮官2名の姿です。


※ケネス・ブラナー(ボルトン海軍中佐)


※ジェームズ・ダーシー(ウィナント陸軍大佐)

彼らは果たして物語がどこに向かっているのかを観客に示してくれる『灯台』のような方たちです。



●ということで、ダンケルクとは。

・・・・・
敵は倒したいし、味方が倒れるかもしれないが、自分は死にたくはない、
という究極の矛盾。
脱出手段が限定されてしまったこの状況。

予告編ではおそらくフィン・ホワイトヘッドを中心に物語がダイナミックに展開するのだろうと思う方もいるでしょう。

しかし、この映画は「無数の人間が、ある目的のために、自分ができることをする」ということを追う物語です。

生き残るために、何をしてしまうのか?
何を迫られるのか?

救うために、何を決断しなければならないのか?

場面のひとつひとつが1話完結型になっている連絡短編を読んでいるようです。

ダンケルクの撤退という史実を題材に、戦争の意義だとか、敵を倒すことだとか、そういうことではなく「ある状況に陥った時に何を自分はするべきなのか?」ということを問いかけてくる、強烈な作品なのでした。

だからでしょう。
本来であれば包囲しているドイツ側のシーンが描かれても良いものの、
本作ではドイツ兵の姿は出てこないのです。

枢軸と連合がどうだとか、イデオロギーの正当性を訴える材料はほとんど見受けられません。

登場人物たちが決断をするための、ひとつの歯車として、
あるいは劇中に漂う恐怖の象徴として、「敵」は轟音とともにわたしたちの前に姿を見せてきます。
劇場で鑑賞された方はお解りでしょうが、あれホント怖いですよね。
映画だと解っていても、恐怖を感じる音です。
「新しい戦争映画」だという声にわたしが同調するのなら、その点です。

その恐怖とは、いつわたしたちが見舞われるかも解らない、恐怖。
それと同じなのです。



あぁ、それにしても、わたしはトム・ハーディ演じるファリア達が、
『トップガン』さながらのカメラワークで、古き良きドッグファイトを展開し、
かつ、劇中最高のシーンを創り上げていたのを鑑賞できただけでも満腹でした



ただ、わたしの涙腺が崩壊したのは別のシーンです。

無数の勇気ある男たちが、あんなにも誰かを救うために立ち上がり、
戦場に向かったのかと思うと、今でもまた涙が出そうです。

「希望がやって来た」

助けを待つことしかできない、戦意を喪失してしまった兵士たちにとって、

海の向こう、空の彼方から迎えに来てくれた彼らの姿は「希望」の灯火のそれです。



なんの取り柄もないわたしでも、できることはある。

また、還る場所があり、そこから手を差し伸べる人がいる、来てくれる人がいる。

そういう忘れてはいけないものを、この物語はわたしに思い出させてくれました。

2017年映画鑑賞 149本目

◆overview◆


・原題: Dunkirk 2017年公開
・上映時間:106分

・監督:クリストファー・ノーラン   
代表作:「ダークナイト」「インターステラー」
・脚本:クリストファー・ノーラン

・メイン・キャスト

フィン・ホワイトヘッド
トム・グリン=カーニー
ジャック・ロウデン
ハリー・スタイルズ
アナイリン・バーナード
ジェームズ・ダーシー
バリー・コーガン
ケネス・ブラナー
キリアン・マーフィ
マーク・ライランス
トム・ハーディ

2017/09/03

A cure for wellness 感想 ~つーか!おっさん!演技にかこつけて、どこ触ってんだ!羨ま・・・ぶ、ぶべら!!!~【映画レビュー】



◆A cure for wellness  感想◆


評価/オススメ:★★★★★!!!!!!!
クルッテルヨ!!

◆synopsis◆

ニューヨークの巨大金融系企業に勤める若手社員のロックハートは、アルプスにある療養施設ウェルネスセンターに行ったまま連絡の途絶えたCEOを呼び戻すために現地に派遣されることなった。
行き着いた先は人里離れた閉鎖的な山間の小さな町。
ウェルネスセンターも名前とは裏腹に、中世の古城を改築した土地に設けられていた。
デジタルとは程遠い世界に呆気にとられるロックハート。
肝心のCEOを見つけ、事情を伝えるが、精気がすっかりと抜けきってしまった様子でまともな会話すらできない。引き返すことにしたロックハートは、しかし不慮の事故に見舞われて負傷してしまうのだった。

治療のためしばらくウェルネスセンター滞在することになったロックハート。
療養施設では、医師やスタッフが青いボトルに入った奇妙な液体を飲んでおり、患者たちは治療と称して時々姿を消すようだった。
ロックハートはひそかに療養施設の調査を試みる。不信を感じたロックハートの予感は的中することになる。

そしてひとりの少女との出会いにより、ロックハートはことの真相に迫っていくのだが・・・・・


◆comment◆


ご機嫌いかがですか?
しばらくぶりの更新です。
7月から8月にかけて、主に仕事面で映画を観る時間とブログを書く時間を確保することができずにいました。まぁ、サラリーマンは給料という鎖で首を繋がれているものです。
仕方がない。

さて、8月も終わろうとするある日。
仕事から帰ったワタクシは、宅配業者から海外から荷物が届いているという不在通知を受け取りました。

荷物を受け取ると、それは外国に住む映画友達からで、なんとBlu-rayディスクが入っていました。



タイトルが違うのは、仏語版だからだそうです。

わざわざ文月にBlu-rayを送ってくれたことに驚きと、衝撃的なビジュアルに胸躍ると同時に、
彼からのメッセージ(カタカナでした)が目に飛び込んできました。

「フミズキサン、トニカクミテ!クルッテルヨ!」

狂ってる???

いや、しかし、海外版のBlu-rayだと拙いワタクシの語学力では読み解けないかも・・・・

と思いきや、

日本語字幕・日本語音声が選択できる・・・・だと!?!?!


ビール片手に再生ボタンを押したワタクシは、メガトン級にイカれた世界に引きずり込まれ、本作品の主人公とともに、衝撃の体験をすることになりました。


※主人公ロックハート君。ブラピではありません。
こいつ肩で風切っているようなエリート社員だわぁ、マフィ梶さん、やっちゃってください。的なやつでしたが・・・

↓↓↓



こうなります。

そしてワタクシは・・・・というより、日本人なら・・・・


か、海原先生!!!!!!

と、わたくしはこの御大とともにこの映画を見てしまいました。

え?どうして「美味しんぼ」かですって???
この作品はうなぎ料理のお話だからです。
(おいおい)


・・・・いや、冗談です。ある意味、本当です。



このスリラー作品がよくできているな、と感じたのは、真相はクライマックスまで恐らく多くの人が解らないのではないか?という構成です

つまり、安っぽそうな予感バリバリの作品に見せておいて、そうではなかった?
目の前に見えているものすら、虚構だったのではないか?

SNSでも呟きましたが、「シャッター・アイランド」を強烈に想起しそうなものでした。



海外の友人が「クルッテルヨ!」と言ったのは、これが為だろうと、たかをくくっていた文月は、本当に狂ってるところはそこではなかったと、主人公のロックハートと共に驚愕しました

というより、ウキウキ。

ストーリーも、登場人物も、設定も、ビジュアルも重々しいトーンでありながら、非現実感を非常に意識して製作しているのは、さすがです。

現代劇というよりも、中世古典文学、オカルティックで狂気に満ちた、人間の生の感情、愛憎、欲望。

モチーフで強烈に使われている例の「うなぎ」・・・

日本でもいろいろなサイトで気持ち悪さがレビューされています。

しかし、この気持ち悪さそのものが、人間の歪んだ負の感情、人の心そのものではないか?
そして「生命力」というかちょっと○○○的な意味(自主規制)でも象徴的に用いられているのだと文月は見ました。

確かに、狂ってる。イカレテル。

彼らが「なぜ、このような行為をしているのか?」

この作品にとっての『治療』とは?なんであるのか?

観ているわたしたちが気持ち悪さをこらえながら探らなければいけないのは、
その本質です。

いろいろ、書きたいのですが、書けばネタバレになってしまうので悲しい。
オープニングから端々に、伏線が仕込まれているのです
ミエミエだよとお思いの方、油断めさるな。

そして導かれていく「事実」は、おそらく観ている方の期待をいい意味で裏切るでしょう。

ただ、事の真相を解明する段階になって、なんじゃこれ?と一気に冷めてしまう人もいるだろうと思います。

このあたりはもう個人の好みですな。

でも、、、、、わたくし、
ヒロインがラストにかけてあれほど妖しくなるのには撃沈ですわ。

わしもうなぎになっちまうやんけ。。。。

と、ヒロインを演じるミア・ゴス嬢

ですが、この記事のタイトルにもなったキワドイ(というか未遂ですが、現行犯)シーン大丈夫なんだろうか?と心配になりましたが、撮影当時も20歳超えているのではと思われます。しっかし、よくOKしたなぁ。

じゃあ作品上の設定は大丈夫なの???と問われた場合、監督は「は?いや、だってあの子は●●歳だもん」と答えて逃げるんだな。うん。そうだよね。
これも、これから観る方のために伏せ字。


そうそう、Blu-rayですが、アメリカ、イギリス版を除く欧州版(フランス、ドイツ、イタリア版らしい)には日本語でローカライズされているようです。

あぁ、これは是非、スリラー好きな方は必見ですので、日本でもリリースされることを期待します。


雄山先生、先生はあんな施設に絶対行かないでください。
(行ける資格は十分ありそうですけど)

2017年映画鑑賞 142本目

◆overview◆


・原題:A cure for wellness  2017年公開
・上映時間:142分
・監督:ゴア・ヴァービンスキー
代表作:ローン・レンジャー
・脚本:ジャスティン・ヘイス

・メイン・キャスト

デイン・デハーン
ジェイソン・アイザックス
ミア・ゴス
イヴォ・ナンディ
ピーター・ベネディクト
マギー・スティード

2017/07/23

ウィッチ/The Witch 感想 ~壊れていく、その恐ろしさを~【映画レビュー】


◆ウィッチ/The Witch 感想◆


評価/オススメ:★★★★☆

◆synopsis◆


1630年、ニューイングランド。
理不尽にも住む街を追い出された父ウィリアムと母キャサリンは、
5人の子供たちと共に森の近くの荒れ地にやって来た。
しかし、赤子のサムが何者かに連れ去られ、行方不明になってしまう。
連れ去ったのは森の魔女か、それとも狼か。
悲しみに沈む家族だったが、あろうことか美しく成長した愛娘トマシンが
魔女ではないかと疑いはじめる。
疑心暗鬼となった家族は、やがて狂気の淵に陥っていく・・・。

※公式HPより

※ネタバレ防止に付き、一部文月加筆訂正


◆comment◆

怖い。
こうも簡単に壊れていく、脆い人間達の絆・・・
すべての望みが絶たれていく中で、少女が選択した「救済」
そして交わされる妖しくも神聖なる「契約」

2017/7/22より公開、昨日鑑賞してきました。
文月が今年鑑賞する劇場公開されたホラー作品はどういう訳か、トーンが似ているのです。

本作も『ジェーン・ドゥの解剖』と方向性は同じトーンでありながら
もっと人の心を深く抉ってくる感じの映画です、はい。
空恐ろしさについては本作が勝ります
そして、なんとなんと、本作と『ジェーン・ドゥの解剖』は製作陣など全く関連なのですが、実は共通した事件/出来事をベースに扱っています。。。
2作観られた方にはお解りと思いますが、面白いですねぇ。

★文月の『ジェーン・ドゥの解剖』レビューはこちら↓↓↓↓
ジェーン・ドゥの解剖 感想~解剖ホラーってドヤ顔で名付けた奴、前に出なさい~【映画レビュー】

本作は一言で言うと、アメリカで「実際に起きたある事件」のその起源を当時の記録や資料などをもとに描いているのですが、ホラーとしての恐ろしさというよりも、
冒頭でも書いたように、

人間の絆というものが、たとえ家族であっても、あんなにも脆く崩れ去っていってしまう恐怖を描いているのです。

目に見える恐怖とは別の恐ろしさを感じます。
この映画の気持ち悪さを表現するのに他の作品の名前を出しますと語弊があるかと思いますが、『冷たい熱帯魚』(2010年) 



や『呪怨』(2000年)にも似た狂気を孕んでいます。


※予告動画のリンク貼ります。
※『呪怨』が最も狂気に満ちているのはオリジナルビデオ版だとワタクシは思いますので、こちらをあえて紹介しました。

単純に怖いと思わせることのできるグロいシーンばかりを並べることなく、かつ、効果的に使っている点はドラマを引き立たせてくれます。

最も得体の知れなくて、おどろおろどしい、人間の闇の話。

それがこの映画で観るべき主題です。

魔女、悪魔というものはどこか別の世界からやって来るものではない。
それはいつもわたしたちの側に知らぬ間に寄り添っていて、弱く脆い人間の心に入り込んでかき回す。誰もが持ち得る狂気こそが、それを生み出してしまう。。。。

もの凄く可憐な天使のようなアニヤ・テイラー=ジョイ演じる主人公ら家族が見舞われる事件は当時としても(あるいは現代も)起こり得るものですが、堰を切ったように続く救いのない出来事の連鎖は、観ている我々をも「狂気」を覚えさせるのに十分です。

敬虔なキリスト教徒であるがゆえに、「狂気」に歯止めをかけられなくなる家族。

※『スプリット』とは印象が全く変わりますね!!!まあ、どちらの作品でも幻想的な容姿をしていますが♫

そして、実はそれをずっと観ていた『ある存在』

それは直接手を下すことなく、純朴な家族をひとりひとりとまた苦しめ、狂わせる。
自らの娘を『魔女』だと決めつけていく。

全ては生娘(純粋な魂)を手に入れるために巡らされたという巧妙な罠だったのです。

家族を繋ぎ止めている『父親』の存在。
ソレにとっては最も邪魔な『父親』は最後まで立ち向かう勇気と信念を持っていました。
それが無残にも倒された時、家族は離散します。

この家族が壊れていく様って、社会のいろいろなものを暗喩している気がして仕方がないのです。

すべてが壊れた後に、耳元に聞こえてくる悪魔の囁き。
それが本作の最大の見所になるのですが、最後の最後まで正体を明かさないところが安っぽくなりかねない作品のリスクを見事に回避しています。

あぁ、そう言えばこいつは家族の側にいた。
オカルトに詳しい方ならピンとくる姿で、そして巧みに家族の側にソレは潜り込んでいたのです。
ずっと狙っていたのです。

そして始まる狂気の宴。

魔女とは、どこからかやって来るものではない。
生み出されるもの、望まれて現れるものだと。

つまりは人間の闇が生み出した存在なのです。

ソレは、耳元で甘い言葉を吐き、背中をそっと押しただけ。

この映画の鑑賞直後からワタクシは昔見た、ある一枚の絵画が頭に浮かんできてしまい、
それが離れません。

The Nymphaeum (1878)
ウィリアム・アドルフ・ブグロー作の絵です。

ギリシャ神話に登場するニンフという精霊を描いた絵画です。
ニンフは時として、森のなかで旅人を魔力で惑わせたり、取り憑いて正気を失わせることもしていたようです。

いわゆる醜い魔女とは象徴として作られたアイコンであり、人を狂わせる(そして悪魔が喜ぶ)には「官能的な美しさ」が必要なのでしょう。

救いを求め、受け入れたもの。
結果を想像しようにも、YESとしか言えないようにあらゆる望みが絶たれる不条理さ。
たとえ相手がどのような存在であれ、弱い人間は「苦しみ、悲しみ」から逃れたい。
つまり現実というもの恐ろしさをわたしたちに突きつけているのでした。

ちなみに、本作の狂気と妖しさを見事に表現しているアニヤ・テイラー=ジョイさん。
本年公開の『スプリット』(M・ナイト・シャラマン監督)で一気に知名度が高くなりましたが、実は本作での演技が評価されて『スプリット』に抜擢されたのです
製作も公開も本作のほうが先。
日本公開が逆なため、誤解される方がいるかもしれないので、補足させてもらいます。


あ。。。いつの間にか、昨年の鑑賞本数到達まであと5本になってる・・・

2017年映画鑑賞 132本目

◆overview◆

・原題:The Witch
2015年公開(日本公開2017/07/22)
・上映時間:93分

・監督:ロバート・エガース  
・脚本:ロバート・エガース

・メイン・キャスト
アニヤ・テイラー=ジョイ
ラルフ・アイネソン
ケイト・ディッキー
ハーベイ・スクリムショウ
エリー・グレインジャー
ルーカス・ドーソン



2017/07/08

ライフ/Life 感想 ~待てぇぇぇい!と言って待つ奴はいない~【映画レビュー】


◆ライフ/Life 感想◆


評価/オススメ:★★★★☆

◆synopsis◆


6人の宇宙飛行士が滞在するISS国際宇宙ステーションである調査が始まった。
火星探索ミッションで未知の生命体の細胞が採取されたのだ。
地球外生命体の発見。
そのニュースに沸くクルーと世界。
喜びも束の間、驚くべきスピードで成長、進化していく生命体。
一抹の不安を覚えた矢先、予期せぬアクシデントが。
生命体にある処置を施すことになったクルーたちは、それがもたらす
危険をまだ知らなかった・・・・

◆comment◆


って、えぇぇぇぇぇぇ!!!!
オレたちのデットプールが咬ませだと・・・・
待てぇぇぇぇい!!!!!
じゃあ誰がアイツと戦うんだぁ!
あ、SAMURAIとビリー・“ザ・グレート”・ホープがいるか・・・

日本公開 2017/7/8 本日から公開です。
いやぁ、ジョン・ウィック チャプター2と公開が重なってしまった(ジョン・ウィックは7/7公開)のは良いことなのか、はたまた逆なのか・・・

今月は同日公開のメアリと魔女の花、ヒトラーへの285枚の葉書。バイバイマン(これは観たい!!!)etc、そして来週以降にはパワーレンジャー(7/15公開)・・・あ、7/15公開多すぎ!!!、ウィッチ(7/22公開)、ザ・マミー(7/28公開)、君の膵臓を食べたい(7/28公開)etc、と注目作が目白押し。
そして8月も・・・
2017年もいろいろ豊作ですな。

バイバイマンと本作を直前までどちらを観に行こうか迷っていましたが、
デットプール大好きーーー、真田の広様大好きーーーという安直な理由でこちらを選択しています。ダニエル監督のチャイルド44も個人的には良かったので。

ただし、まぁ、ストーリーとしては閉鎖空間での追いかけっこ&脱出劇。
海外のレビューでも書かれていましたが、
特に真新しい発想の物語ではありません
でした。
目の肥えた方なら展開が予想できることもあって、そういう意味で玄人向けには
★★☆☆☆と致しました。

それでもホラー好きとしては観てしまうのがワタクシのような人種の性。

これって、例えばジェットコースターに何回も乗りたくなる心理と良く似ていると
個人的には考えています。

ジェットコースターって並んでいる時に見上げれば「どんなコースを辿るのか」解ってしまうものですよね?
あぁ、こう登って下って、ぐるぐる回って、一瞬油断させておいて、ドーンか。
みたいに。
想像でのスリルと実際に体験することで感じるスリル。
その相乗効果で満足するアトラクションだと思います。
あぁ、やっぱりめっちゃ怖かったねー、また乗りたいねーなんて。

本作も「踏んではいけないフラグ」がそこかしこに生えてるのを
恐ろしいくらい踏んでいく主人公たちをご覧になりながら、
どうか思う存分ハラハラしてください。

鑑賞中に「やめろっつってんだろーが!!!!」と何度声が出かかったことか。。。

何が起こるのかを解った上であえて乗ってみる。
これが本作の醍醐味です。

それにしても本作の元凶である火星産の地球外生命体。
深海生物をモデルにしているようで。
ワタクシのイメージではオワンクラゲ+スカシダコみたいなやつに見えます。
↓↓↓
libutron.tumblr.com様のページをご参照(英語です)

mindblowingscience: Ten animals that ha...

mindblowingscience: Ten animals that have evolved transparent bodiesBy Ella DaviesFrom glass frogs to glasswing butterflies, a host of animals have made themselves see-throughContinue Reading.

予告編や特報関係の映像だとなんとなく可愛いクリオネの様な感じで
映っていますが・・・・
クリオネだって捕食する時はハンパなく怖いですものね。

本作の生物。ご丁寧にあるニックネームもつけられます。
それがまた恐らく理化学系の方ならニヤリとするようなお名前で。
一般人のわたしたちとしては可愛げのある愛称だと捉えればいいのでしょうけど。
その『彼』
グロテスクだけど、その辺のRPGなら序盤で倒せそうな感じです。

しかし、強い。
圧倒的に強い。
絶望的に強い。

そして異常なスピードで進化し、並々ならぬ知能を持ち合わせています。

もうやだこの任務。

デットプールが噛ませにされるのであれば、もう範馬勇次郎でも呼んでくるしか無。。。。。。



あ、いけね。この台詞はまんま「生命体への激励」になっとる!!!

よく思い出してみてください。皆様。。。。
われわれはエイリアンですら倒すことは可能だったんですよ。
(注意:シガニーのエイリアンです)
比較しちゃいけませんが、人類はプレデター先輩ですら戦闘不能にできるんですよ。
(注意:道連れにされますけど)

でも、こいつは別格。

この映画のシチュエーションがありきたりなものだとしても、
他の作品と一線を画しているのはこの「絶望感」

幻想生物の様な外観、恐ろしいくらいの硬さと攻撃力。

ISSってもの凄く狭いのに、人間よりも移動経路も速度も上な相手から逃げろって
どんな無理ゲー。。。。

しかも倒せない。
倒せない、ゼッタイ。

なんだか「現実」を具現化したみたいなモンスターですよ(笑)

ホラーの王道である、登場人物紹介、目的紹介、未知との遭遇、そして崩壊劇。

テキスト通りの綺麗で無駄のない、そしてもの凄くテンポ良い展開。
前述のジェットコースターではないですが、ダイナミックでスピーディーな構成は観ていて飽きません。前半の導入からしっかりと観ていてください。
登場人物たちの立場、関係性、使命感、プロとしての自信、仲間への信頼関係。
そうしたものをしっかりと受け止めて、はじめて崩壊していく劇中の彼らに寄り添うことができます。

ワタクシも日本人ですから、どうしても真田広之さんに目が行ってしまいました。
真田さん、単なる脇役ではなく、できる技術者であることと日本人であることを劇中で自然に表現できていたと感じました。


もうひとつこの作品を際立たせているのが、美術です。
舞台のISSですが、実際に宇宙に上がっているものを再現しているとのこと!!!
国際宇宙ステーションってニュースなんかでも度々取り上げられますけど、
よほど興味が無いと中身まで詳しく知らないですよね。
わたくしもSF好きだとか言っておきながら、ISSをはじめとして現代の宇宙工学や建造物については素人同然の知識しかありません。。。
よって、本作を観て素直に感動してしまいました。
ピュアだった少年の頃のような感動です(汗)

これについては映画.com様の記事でも取り上げられています。
↓↓こちらの記事です↓↓

「ゼロ・グラビティ」クルーがISSを実寸大で再現!「ライフ」舞台裏映像公開 : 映画ニュース - 映画.com

[映画.com ニュース]  ジェイク・ギレンホール、 ライアン・レイノルズ、 レベッカ・ファーガソン、 真田広之が共演したSFホラー「 ライフ 」の特別映像が、公開された。 火星で採取した地球外生命体の細胞を国際宇宙ステーション(ISS)内で極秘調査する6人の宇宙飛行士たちが、次第に進化・成長し、高い頭脳を持つ生命体に命を狙われ、絶体絶命のピンチに陥るさまを描く。「 ...
ゼロ・グラビティ(2013年)、インターステラー(2014年)、オデッセイ(2015年)と宇宙物の作品が続いていたのですが、これらの劇中に登場するアイテムも建造物もきちんと考証されているものが登場しているのですがなんとなく見逃していました。
忠実に再現されたISSが登場するということも忘れてはいけないポイントです。
SFみたいじゃん!ではなく、もう現実になっているガジェット群に狂喜乱舞。

ただし、予想できたとは言えラストシーンの描写は結構エグいものがありました。
一瞬でしたがあの描写。ホラーには耐性があったと思っていましたが、、、、
「・・・気持ち悪い」
あれっていったいどういう状況なのかと思い返して脳内再生しても
、、た、たわばっ!!!!
そこらの過激なスプラッター描写よりひどい嫌悪感を久々に覚えました。

あぁ、、、終わったな。と。

この救いの無さ。虚無感。
わたしたちを抱きすくめる圧倒的な絶望感。
こういうのを思い描いていたはずなのに。。。
真新しい話でもないと書いていたくせに。
あれ、わたし、泣いてるの???

精緻を尽くした映像美とともに、こういう感覚を味わいたい方は是非劇場まで
足をお運びください。

そうそう、どうして人類史に刻まれるほどの実験をISSで始めてしまったのか・・・・
そこはツッコんじゃダメですよ。
それこそ「待てぇい!」

※「待てぇい!」(byラストサムライ)が好きなので引用していますが、
劇中真田さんは一言も「待てぇい!」と言いませんし、もちろん日本刀も登場しませんのであしからず。

2017年映画鑑賞 115本目

<余談>


まったくこの映画には関係ないと思いますが、
ワタクシの勝手な脳内関連付けで、この作品の追いかけっこが
アニメ カウボーイビバップ(1998年)のSession#11「闇夜のヘヴィ・ロック」と
ダブってしまいました。
ライアン・レイノルズもエドみたいに、こいつを喰らってやればよかったんだ!!!



◆Overview◆

・原題:Life 2017年公開
・上映時間:103分
・監督:ダニエル・エスピノーサ
代表作:『チャイルド44 森に消えた子供たち』(2014年)
・脚本:レット・リース
    ポール・ワーニック

<メイン・キャスト>
ジェイク・ギレンホール
レベッカ・ファーガソン
ライアン・レイノルズ
真田広之
アリヨン・バカレ
オルガ・ディホヴィチナヤ

2017/06/24

エリア51/area51 感想~お前のOKは、映画的なOK~【映画レビュー】



◆エリア51 感想◆


評価/オススメ:★★★★☆
(破綻具合を評価しています)

◆synopsis◆


宇宙人と遭遇した者たちを収容していたと噂される米政府極秘地区“エリア51”
その謎を陰謀論を唱える若者3人が暴こうとする。
そして、この隠された施設で彼らが見つけたものにより、恐ろしい、想像を絶する秘密が明らかになっていく。

※paramount_international youtube予告編より
※ネタバレ防止に付き、一部文月加筆訂正

◆comment◆


やっちまったなぁーーー!!!
やっちまったよ!!
ヒャッハーって感じだよ!!
笑撃の探検隊だよ!!!

ご機嫌いかがですか?またまたデスキャンサー文月です。


いい意味で良かったDEATH。

個人的には好きだったんですよ『パラノーマル・アクティビティ』
断然1作目です。
だって素直に恐怖を引き立てる演出ができていた手作り感満載の映画でしたよ。
当たったからといって続編を作る・・・続編はバジェットも大きくなり、
比例して演出過剰になり、「ホラー映画」になってしまう。
「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」然り、「REC」然り。
1作目監督を努めたオーレン氏が製作ではなく、再び監督を務めたのが本作。
工夫次第でモキュメンタリーってものすごく楽しくなる手法なんだけど、
オーレン監督、少しおイタが過ぎましたな(笑)
川口浩探検隊になってるやんけ!!!

だけど何でこれ劇場公開とDVDでレンタルしてないんだろう・・・
めちゃくちゃ個人的にはツボでした。
本作、実は日本ではネット配信(TUTAYAディスカスやAmazonビデオ、iTunes)でしか観られないんですよね。
(17.6.23現在)
7月の劇場公開を前に一休みということで、たまたまyoutubeで予告編を観て即ポチリしてしまいました。
(6/24劇場公開の『ハクソー・リッジ 』は題材が題材ということもあり、コメントは控えます。文月は本作を幸運にも試写会で観ました)

幽霊モノで味をしめてしまったオーレン監督が完全にネタで創った(もちろん商業的な意味で)映画です。
超B級ホラー。お休み前か、お休みか、どちらにしてもゆる~い気持ちで楽しめる、
完全にネタだと解った上で鑑賞するべき1本。
愛と青春の探検物語です!!!!

題材が「エリア51」ですからね。
予告編をご覧になれば、どう考えたって『あとは察せよ』的な
トンデモ展開が予想できますよね。

予想通り破綻してますよ!!!
例えるならおもしろ動画とかでありそうな、空中分解していって、最後はバラバラになる飛行機ですな。
えぇ、だってこれはきっとネタですからね。
その破綻していく様を楽しむ映画です。
※レビューが割れているのは十分承知してます。ネタだと解りきって見ればトンデモ展開を楽しめます。
ただし、酷評した「ラスト/ナイト」よりも全然おもしろいです。


ストーリーとしては・・・

①主要人物はこの3名の勇者達。
『大丈夫、大丈夫ってお前はドラ○もんか?』リード君
『良識派だけど結構アグレッシブ』ダリン君
『実はビビリ』ベン君
リード君が仲間内のパーティ中に突然行方不明に→帰り道の道路に仁王立ち
これが全ての始まりでした・・・・
※ちょっとドキッとしたんだけど、怖くなんかなかったんだからね!!

②この行方不明事件を境に人格が変わってしまったリード君
とある目的のために私財も仕事も全部投げ打ってしまいます。
オープニングのパーティピーポーからの変わりように笑えます。
※不安定だからといってオーガスタ研の強化人間ではありません。
ガジェット披露の場面があるのですが、胸熱です。
いったい幾らかかったんだよ・・・・・
妻帯者なら奥さんに確実に半殺しにされるほどの量のアイテムを買い込んでいます。
リード君は独身なので難を逃れたようですよΣ(´∀`;)

ただ「ブレア・ウィッチ」と違うのは、ガジェットがきちんと活躍するんです。
そこは観ていて謎の満足感。


③ダリン君、ベン君はそんなリード君の計画に付き合うことに。
目的地はもちろん「エリア51」への潜入。
だけど、行方不明事件がきっかけとはいえ、どうしてエリア51に行くのかはボヤッとしていて。
行くしかないから、行く。
山があるから登る的な展開ですが、いいのです。
これでいいのです。

④どうあってもエリア51に惹かれているリード君。
現地に協力者を何人も得ていて、かなり頼もしい感じ。
このあたりから、「ずっとリード君のターン!!!」

ここで、パーティに4人目の人物が加わります。
ヒロインのイェレナです。結構、素敵。
そしてリード君に似ている。。。
空が、、、落ちる。

⑤さぁ、突撃だ!!!!という訳にはいかないようでΣ(´∀`;)
どうやらあるアイテムが必要。
という訳で「ドントブリーズ」的なドキドキ潜入大作戦決行。
お前ら絶対バレたよね!!!!
なんで捕まらないの!!!!
※このあたりはインターミッション的なシーンが続きます。エリア51関連の小ネタ(職員専用のジェット機やUFO目的の方向けモーテル、侵入者の監視方法やその対策など「いかにも」なものが結構時間を割かれて登場)が満載です。
ちょっと内輪で揉めるけど、これもお約束への布石です。
「大丈夫だ、問題ない」
こんなリード君の強引さをたっぷりと堪能してください。
だって、ずっとリード君のターンなのだもの。


もう上映時間4分の1ぐらいしかないんだけど・・・・と、
観ている側の不安が絶頂に達した時に『リード君探検隊出発!!』
おい、エンディングまで間に合うんだろうな・・・・
※このくだりからエリア51にたどり着くまでが一番熱いです。
この間『が』この映画の本編です。文月不覚にドキワク!!

え?なんで潜入する過程が本編なのかって?
だって、エリア51に到着した途端に破綻するからさ。

お前らやかましすぎて絶対に潜入バレてるんだから、早く帰れ!!!!
という、お待ちかね、ツッコミ満載の『破綻』の開始です。
あぁ、製作陣疲れちゃったのかな。
だけど予告編でチラ見したあのシーンとか、このシーンはここからですよ!!
え、もう上映時間ないんだけど・・・・・

彼らはここからエリア51の本当の恐ろしさを体験するのですが・・・・

リード君!ここからの悲劇のほぼ9割は『お前のOK』のせいだからな!!!!
このあたり『メイのバカ!!もう知らない!!!』に匹敵です。。。。
トトロです。ネコバスで逃げてくれ・・・・頼むから。

いやぁ、結構真に迫って逃げているんだけど・・・・
なんでこんなに堅牢な施設なのに『奴ら』を制御できてないの・・・米軍さん。
というかリード君が踏んだフラグって、ここを崩壊させるほどのものだったの??
とてもそうは見えないんだけど・・・・
逆に、そんなに脆い基地だったとしたら、よく何十年も事実を秘匿できたね!!!
というか、トンデモテクノロジーを持っている奴らがなんで化け物なの?
知性とか無いの???あ、あったんだ!!!
っていうか、リード君達はマトリックスの武器庫にでも行っちゃったの?

・・・・と、この破綻具合といったら息もできないくらいのラッシュ、ラッシュ!
謎と疑問だらけなんだけど、笑撃的であることには変わりない。
あれこれ考えちゃいけないんだ、・・・
だってお前らリード君無視して早く逃げて!!!頼むから!!!
あぁ、B級だなぁ。コレコレ!この感じ!と逆に興奮。

OK、OK、ノー・プロブレム。
リード君の根拠のない肯定が招いた悲劇の先に見える教訓。
「よく解らないものには近寄らないほうが身のためだ」
という、至極散文的なものでした。

観る側を襲うトドメの一撃はまさにDyson。
吸引力が衰えないただひとつの掃除機です。

あ、無かったことにするってことだったりして(笑)
こういうテイストの映画、またお待ちしてます。

2017年映画鑑賞 102本目

◆overview◆


・原題:Area 51
・2013年制作 2015年公開(日本劇場未公開)
・上映時間:95分
・監督:オーレン・ペリ   
代表作:『パラノーマル・アクティビティ』
・脚本:オーレン・ペリ

<メイン・キャスト>
リード・ワーナー
ダリン・ブラッグ
ベン・ロヴナー
イェレナ・ニク
フランク・ノヴァク

2017/05/27

ドント・ブリーズ 感想~もう、そんなにしたいならアンタたちの好きにすればいいじゃない!お母さん知らないから!~【映画レビュー】

[映画感想]

◆ドント・ブリーズ 感想◆


評価/オススメ:★★☆☆☆

◆synopsis◆


親と決別し、街を出るため逃走資金が必要だったロッキーは、恋人のマネーと友人のアレックスと一緒に大金を隠し持つと噂される盲目の老人宅に強盗に入った。

だが彼は、目は見えないがどんな“音”も聞き逃さない超人的な聴覚をもつ老人であり、
元軍人。
彼は驚くべき能力を発揮し、強盗相手に壮絶な反撃を開始するのだった・・・

◆comment◆


ずいぶんと大風呂敷を広げましたなΣ(´∀`;)
20年に一本の恐怖の作品とか言えるほうが恐怖です。
全米がこれで震撼したのなら、モラルが崩壊しているってことになっちゃうじゃん。

6/1の『ローガン/LOGAN』公開を控えて、お休みだし繋ぎで何か借りておこうと手に取ってしまったのが運の尽き。
これなら素直にベン・アフレックの『夜に生きる』を観に行けばよかった。

主演はこの監督の前作であるリメイク版『死霊のはらわた』でも主演のジェーン・レビ。
脇を固めるのは『グースバンプス モンスターと秘密の書』に出演のディラン・ミネット(片思いベイビー)。
ジェーンの恋人役で、ある意味今作の見せ場を作ってくれたダニエル・ゾバット。
そして作中の恐怖の大王として登場するのは、『アバター』でほぼ生身での人類最強を演じたスティーブン・ラング。
ワタクシは今作の彼を盲目のビッグボス(byMGS)と呼ばせていだきます。そっくりだし。それにしか見えなかったし。
ビッグボスを知らない方は小島秀夫監督のメタルギアソリッドを検索ください。



フムン。どうしたもんか。。

映画会社も商売だから、物語を何とか売らないといけない。
あれやこれやと手を打つことを決して悪いと言っているのではございません。
ただし、誇大にやりすぎるとダメかもわからんねと個人的には思うのです。
タイトル、キャッチフレーズ、公開までにつかわれる言葉。
有名な映画評論家の方が過去のラジオでこの作品を絶賛していましたが、
どうしてなのか?と首をかしげてしまったのがホントのところ。

どっちの側に立てば良いのか迷ってしまうような設定に見る側を放り込むのは
ちょっといただけないかな。

この作品から何かを得ようとお思いの方、何か意味を見出そうとお思いの方、
他の映画をご覧になることをオススメしますΣ(´∀`;)

毎日ストレスに囲まれて、休みの日ぐらいビール片手に思いっきり映画にツッコみたい人は御覧ください。

村上春樹の「1973年のピンボール」の受け売りではないですが、この映画はおそらくあなたを何処にも連れて行きはしません。

たしはただ水樹奈々さんの吹替が聴きたかっただけだと言い訳をしています。

あらすじは予告編に譲ります。

物語は簡単に言いますと、追いかけっこです。

ただし、予告編や公式サイトへのツッコミ。
主人公たちを一方的に襲われる被害者のように描いていますが・・・・
待って、君らこの盲目のおじさんから大金盗もうとして、押し入った強盗だよね。。。。
しかも人の家に盗みに入るの今回が初めてじゃないし、手慣れてるよねΣ(´∀`;)
それなのに押し入った先に超人が出現したら、急に被害者みたいな顔して半ば泣きながら助けを求めようなんて、どんだけ都合いいんだよ!!!!!

オープニングカットは好きです。
ご覧になったかたはお解りだと思いますが、盲目のビッグボス(もはや定着)の執念を上映開始すぐに垣間見れるのは素敵。
というより、たしかに事前知識がないと、恐怖の予感バリバリです。

ある有名な映画評論家の方によりますと、元ネタ自体はオードリー・ヘップバーンの「暗くなるまで待って」というものらしいですが、もっと身近にするなら、「ホーム・アローン」meets「メタルギアソリッド」です。
ハードな方の「ホーム・アローン」もしくは自業自得のサーチ・アンド・デストロイ。
そうです。マコーレー・カルキンにあたるのがビッグボスなだけです。

こうまでヒドイこと言うのには理由があります。
オープニングカット後の導入シーンで彼らの人となりを紹介する場面があるのですが、

すでに泥棒。悪びれてない。
「やりましょ」
なんて、ショッピングするみたいに人の家のものを盗む盗む。
悪いことしている感じなど微塵もありません。
やってることはこそ泥程度の盗みなのでスタイリッシュさも何も醸し出していない。
悪いんだけど、ワルに徹しきれていない。
しかも盗みの手口は仲間の優男くんの父親が警備会社に勤めているのを良いことに、
システムを導入している家のセキュリティを解除しちゃうって確信犯。

少なくともジェーン・レビ演じる主人公は複雑な家庭の事情もあり家を出たがっていることは解りますが、その手段として「人の金、それも盲目で娘を事故で失くした男が賠償金として受け取った金」を元手にしようなんて、どこのGTAですかい???

こういうホラーとかスリラーって、ほぼ(笑)善良な主人公たちが不条理に巻き込まれることで観る側は感情移入できるのに、冒頭からの彼らの態度に気持ちが冷めていきました。。。。

とまれ、そういうことは全く無視して、老人宅に侵入する彼ら。

もう勝手にやってくれ・・・

予告編で既に壮大な「追いかけっこ」のヒントはネタバレしていますね。

スティーブン・ラング演じる今回の被害者が、盲目ながら驚異的な戦闘能力を持った超人なんです。もうチートです。ビッグボスです。

主人公3人組が彼に遭遇する。
そこからが一方的なビッグボスのターンです。

「スネーク、まずCQCの基本を思い出して・・・」

主人公の恋人役、ダニエル・ゾバットが奇しくもMGS(この場合3か)の名シーンさながらの再現で瞬殺。

これまではこのシーンをやるための前フリだったってことでいいね?

そうそう。
こういうのが観たかったんだよ。。。。
この作品の最大の見せ場はここですよ。

あ、気が付くと主人公ではなくて、ビッグボスを応援している。。。。
これが今作の最大の恐怖ですね。

だって、彼は泥棒と対峙しているだけでしょう。。。

100歩譲って、このビッグボスも狂気に取り憑かれた人ですよ。
劇中に明らかになりますが。

この映画はどこにも連れて行ってくれない、と冒頭で述べたところに戻るのですが、
狭い場所で繰り広げられる壮大な追いかけっこ、その「状況」だけを観るのがこの作品です。ドラマっぽい要素はありますが、それならば主人公たちのキャラ付けをもう少し「普通の人」に寄せるべきです。
強盗に入るという設定より、興味本位で妙な噂がある屋敷に忍び込む青年たちが襲われるというのなら、何倍も主人公たちに愛着が持てるのですが。。。

そもそも悪いの君たちじゃん。。。。。
開き直ってビッグボスを悪の権化の如くしちゃいかんよ。。。

無理矢理教訓をひねり出すなら、もう「触れてはいけないものもある」って平凡なものですか。
こういう主人公たちに共感はできませんでした。

あえて人にオススメは致しません。
この記事に関しては、どうして冷めちゃったのかを覚えておくための備忘録として書きました。
どうしたんだサム・ライミ。。。

とは言え、この作品。
続編の話が出ているようです。

ただただビッグボス観たさに、個人的には続編期待しちゃいます。

2017年映画鑑賞 89本目

◆overview◆


・原題:Don't Breathe 2016年公開
・上映時間:88分
・監督:フェデ・アルバレス
代表作:『死霊のはらわた』(2013)
・脚本:フェデ・アルバレス
※製作にはサム・ライミが参加してます。

<メイン・キャスト>
ジェーン・レビ
ディラン・ミネット
ダニエル・ゾバット
スティーブン・ラング

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第7並行世界のユートピア

物語の海に溺れる中で、フレーズ、イメージを繋ぎ合わせて生まれた短いストーリー達を文月陽介が書き留めます。 特定のジャンル、モチーフにこだわらずに、ひとつひとつの物語を紡いでいます。 ※筆者の気まぐれにより不定期更新です。

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