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2018/07/08

映画_ゆれる人魚(評価/★:3.4)ネタバレあり感想~ホラーではなく、ラブ・ストーリーです~【映画レビュー】

ゆれる人魚 予告編 R
映画 ゆれる人魚 感想 評価 ネタバレ


◆ ゆれる人魚 鑑賞◆


評価/オススメ:★★★☆

文月的採点(34/50点) 

この作品ジャンルは?:ホラー・ファンタジー

オススメしたい人は?:悲恋好きな人

印象を一言で?:シェイプ・オブ・ウォーターよりは解りやすいです。

グロテスクですか?:恍惚とは時にグロテスクなもの

◆synopsis◆


1980年代のポーランド・ワルシャワ。

人間たちを捕食して生きる美しい人魚姉妹は海からあがりナイトクラブにたどりつく。

ストリップやライヴ演奏を披露する大人の社交場で、ふたりは得意のダンスと歌を披露し、すぐにスターになる。

そんななか、姉シルバーはベーシストの青年ミーテクと恋に落ちる。

初めての恋に浮かれるシルバーだが、妹ゴールデンは、そんな姉を複雑な眼差しで見つめていた。

人魚にとって、人間の男は“餌”でしかないからだ。

やがてふたりの間に生じた緊張感は限界に達し、残虐で血なまぐさい行為へと彼女たちを駆り立てる……。

※公式HPより

※一部文月加筆訂正

◆comment◆


2018/02/10 日本劇場公開
2018/07/03 レンタル開始です。

珍しく邦題が秀逸だと感じた作品。

また、原題「The Lure」も言い得て妙なタイトル。

これは劇場鑑賞することができずにいて、レンタル開始をウズウズしながら待ってました。

これ、ホラー映画通信さんなどで紹介されていたから、ホラー映画だとばかり思いっていましたが、

めちゃくちゃ恋愛映画でした。
それも「叶わぬ恋」

公開とほぼ同時期にデル・トロ監督作品であり、アカデミー賞も受賞した
シェイプ・オブ・ウォーターよりももっと直接的で、シンプルで、官能的な作品に仕上がっています。

※文月のシェイプ・オブ・ウォーターの紹介記事はこちら↓↓
映画_シェイプ・オブ・ウォーター(評価/★:4)ネタバレあり感想~形(シェイプ)などない、必要ない、と言える作家の勇気~【映画レビュー】
そして、物語のテイストとしては、2月に公開された「RAW〜少女のめざめ〜」に似た印象を受けました。(方面も同じですが、RAWの方が怖い)

※文月のRAW〜少女のめざめ〜の紹介記事はこちら↓↓
映画_RAW 少女のめざめ(評価/★:4)ネタバレあり 感想~肉好きってレベルじゃねーぞ!~【映画レビュー】
人魚、というと、ディズニー映画の「リトル・マーメイド」のイメージが先行して美しく元気な人魚姫や楽しいキャラクターらが巻き起こす冒険の物語を思い浮かべる方も多いでしょう。

だけど、それはあくまでもディズニーマジックであって、人魚というのは本来本作の様な話なのです。
人魚 - Wikipedia
美しい容姿で、持ち前の美声を用いて、時には人間を誘惑する。

世界各地で伝説になっている人魚とは実はあまり良いイメージではありません。

そして人間と恋に落ちる伝承はそのことごとくが「叶わない」ものであり、本作もそれに準じています。

「ホラー」とされる所以は、ポーランドのワルシャワで偶然ナイトクラブでバンドをやっている男女グループと出会う世にも妖しき人魚の姉妹が、人間を捕食しているからです。

人魚の姉シルバー(右)・妹ゴールデン(左)


ただし、そういうシーンももちろんありますが最小限であって「彼女たちは人間ではない」ことの象徴として用いられているだけで、そこらじゅうで人を喰べ漁っている訳でもないのです。

むしろ「美声」を活かしたミュージカル調の構成と、

「捕食対象である人間と恋をした姉のシルバー」
(いわゆるスタンダードな人魚姫として描かれる)



「人間を餌としか見ておらず人魚らしい妹のゴールデン」
(老若男女問わず、美貌と魔力で誘惑し、捕食していく様は「セイレーン」とでも言って良い)

がラストに向かって、互いにぶつかりながらも生き方を選択していくドラマに重きが置かれています。

愛に「ゆれて」、種族としての生き方に「ゆれる」

ふたりの人魚の心は揺れ動くのです。

※人魚の名が「シルバー」「ゴールデン」となっているのは「イソップ童話」の金の斧銀の斧を連想させますが、本作のモチーフになっていることはラストまで見通すとよく解ります。

人間に心を奪われた人魚にはある呪いがかけられるのです。

それは
「恋に落ちた相手が別の人間と結ばれると、その翌日の夜明けとともに泡になる」
というもの。

伝承にあるようにそれを解くには「ある事」をすれば良いのですが、用いるものはナイフではありません。

うむ。

・・・・とここまで書いておいてなんですが、
フルヌードとか刺激強すぎ!

目のやり場に困る。。。

めちゃくちゃ情熱的に”わっしょい”してるところが、若さと情熱を象徴させているのですな。

見どころは、登場人物それぞれの”わっしょい”でもあります。

情熱なのか、欲を満たすためなのか、愛ゆえなのか…

いろいろな形があるものです。

カップルや夫婦で鑑賞する方は厳重注意!

美しく瑞々しい肢体に鼻を伸ばしていると、隣でこわーい人魚が覚醒するかも。。。

ラストシーンで、哀しみを抱きながら水に還っていくあの子の姿は目に焼き付きます。

種族を超えて本当に愛してしまった相手に、彼女がどんな選択をしたのか。

その結果どうなるのか。

ぜひその心情が理解できるのかを女子に聞いてみたい。

でも、わたし「ゴールデン」ちゃんに誘惑されたら瞬殺間違い無し。

歌声で惑わされなくとも、飛び込む。

”わっしょーーーい”

2018年映画鑑賞 208本目

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◆overview◆


・原題:The Lure 2015年公開(日本公開2018年)
・上映時間:92分

・監督:アグニェシュカ・スモチンスカ
・脚本:ロベルト・ボレスト   
  
・メイン・キャスト
キンガ・プレイス
マルタ・マズレク
ミハリナ・オルシャンスカ
ヤーコブ・ジェルシャル
ジグムント・マラノウッツ
カタジーナ・ヘルマン

2018/06/01

映画_デッドプール2/ Deadpool 2(評価/★:4.0)ネタバレあり感想~だからもうグリーンランタンのことは許してやれって!!!~【映画レビュー】

映画『デッドプール2』予告編 最強鬼やば Ver.

デッドプール2 感想 評価 オススメ



◆ デットプール2 鑑賞◆

評価/オススメ:★★★★

文月的採点(40/50点) 
この作品ジャンルは?:アンチヒーローアクション

オススメしたい人は?:MARVELじゃなくて「デッドプール」ファン

印象を一言で?:実力が伴うからこそ許される『俺ちゃん』節

グロテスクですか?:ゴア表現すらもデッドプールを語る上では非常に重要な要素です。


◆synopsis◆


最愛の恋人ヴァネッサを取り戻し、お気楽な日々を送るデッドプールの前に、未来からやってきたマシーン人間のケーブルが現れる。

ヴァネッサの希望を受けて良い人間になることを決意したデッドプールは、ケーブルが命を狙う謎の力を秘めた少年を守るため、特殊能力をもったメンバーを集めたスペシャルチーム「Xフォース」を結成するが……。

※映画.com様より


◆comment◆


2018.6.1 待望の公開を迎えました!
もちろん初日に鑑賞です!

名だたるMARVEL作品の中で特に異彩を放つ『俺ちゃん』

いま公開中のアベンジャーズには決して馴染まないだろう『俺ちゃん』

まやしてX-MENにすら『居候』しているような『俺ちゃん』

デッドプールはいわゆる正義の味方ではないんですな。

だけど彼ほど純粋な『ヒーロー』も珍しいのです。

それは前作『デッドプール』でも明らか。

レイノルズがあそこまでデッドプールになれたのも、デッドプールがレイノルズなしでは成立し得ないのも、決して『完全無欠な男』ではないからであって、それが『最大の魅力』だからなのです。
(ただしわたしも大好きなレイノルズはやんちゃそうにみえますが、実はかなりの紳士でハルキスト。村上春樹ファンのハートも射抜いちゃう)

【衝撃】デッドプール2のライアン・レイノルズさん、ガチのハルキストだと判明「1番好きな作家は村上春樹さん」
デッドプール≒ウェイド・ウィルソンって、悩みながらも愛のため、そして掴みかけてる『何か』のために、自分の流儀で戦っているだけなんですよね。

そう、大切なのは『自分の流儀』

正義って、なんだそれ?知らんわ。

常識って、どういうこと?変なものは変なんだし関係ないじゃん。

ルールや空気を読むことに敏感なわたしたち日本人だからこそ『俺ちゃん』って非現実的な存在に思えるんだろうけど、そうじゃない。

喜怒哀楽を隠さない、自分のままに悩みながらも生きる。

だから『デッドプール』という作品は
ロードムービーであって、
ラブストーリーであって、
ファミリー映画なのです。

1作ごとに『俺ちゃん』が何かを掴んでヒーローになっていく。

それを一緒に体験するのが本作を楽しむコツですな。

繰り返すと本作はデッドプール本人が言っているように
『ファミリー映画』
です。

なぜか?

ざっと、ストーリーを解説しまっす。

・人物関係図はこちら(クリックで拡大。スマホの方は横画面でご覧ください)
デッドプール2 人物相関図
デッドプール2 人物相関図

①前作で恋人であるヴァネッサを救出し、自分の正体を明かしたウェイド。

世界中で悪者を退治しながらも、ヴァネッサとの甘い生活は続いていた。

しかし、オープニングから様子がおかしい。

ローガン(ウルヴァリン)への恨み節とともに自宅で自爆する俺ちゃん!

…そして、この物語は彼の回想から始まるのです。

※回想の香港のシーン。ビルのネオンサインが「死侍」というのがバカバカしくてクソ笑えます。
※なんちゃって日本も登場。エドモンド本田が出てきそうなあんなサロンは嫌だ。


②世界中で悪党を退治する回想シーン。
前作からめげずにX-MENに勧誘してくるコロッサスネガソニックも相変わらず。

そしてあの「ある意味俺ちゃんに感化された運転手」のドーピンダーもデッドプールの珍道中のお供に。

本作ではスーパーヒーローに憧れが増して、ある意味重要な活躍をすることになるのです。


③ある日のこと。その日も悪党を退治して意気揚々と帰宅したウェイドにヴァネッサが「子供を作ろう」とラブラブ攻撃。

 家族というものにいい思い出のないウェイドは戸惑いながらも彼女への愛を深めるのだが、その矢先に自宅が襲撃されてしまうのです。

 だけどそこはデッドプール。

 超絶華麗に襲撃犯を撃退するのですが、不幸にも1発の銃弾がヴァネッサを貫いてしまうのでした。


愛するヴァネッサを失い失意に暮れるウェイド…(アナ雪歌いますwww)
 オープニングの自爆は「ヴァネッサを殺した≒守れなかった」自分を許せなかったため、死んでみようと試みたのです。

 もちろん、不死身の彼が死亡することもなく、コロッサスによって恵まれし子らの学園へ連れて行かれ諭されます。

 X-MENやMARVELヒーローのことをディスりながらも(笑)「友情」「家族」「居場所」について考えるウェイド。

※忽那汐里演じるユキオも登場。英語喋ってる方が声高くなるんですな。
異常にキュート枠。


⑤そんな中、本作のキーパーソンであるファイヤー・フィストが登場します。

ミュータント施設で暴れているということで、駆けつけるデットプール達。

ぽっちゃりな外見から想像できないぐらい強力な彼がなぜ暴れたのかを知った俺ちゃんは、俺ちゃんなりのスジを通した結果、拘束されてしまいファイヤー・フィストとともに「アイスボックス」という収容施設に入れられてしまいます。


⑥ファイヤー・フィストにある意味尊敬の念を抱かれ慕われるも、それを受け入れないウェイド。

拠り所のないファイヤー・フィストはミュータント施設の施設長への復讐心を燃え上がらせます。

そして登場するのはジョシュ・ブローリン演じるケーブル

未来からやってきたフューチャーソルジャーであるケーブルはテクノロジーと圧倒的な戦闘能力で「アイスボックス」を襲撃。

標的はデッドプール、、、ではなく、なんと!ぽっちゃりファイヤー・フィストくん!


⑦何とかケーブルを撃退し、収容所からも脱出した俺ちゃん。

ファイヤー・フィストを(≒少年を)助けることで、ヴァネッサの言葉(家族についての彼女の思い)を理解しようと、独自のチームである「Xフォース」を結成するのです。

このリクルートシーンはいろんな映画のオマージュもあり、笑えます。

ある意味でXフォース結成から出陣までのシーンが本作のクライマックスであり、笑いのツボを集約していますな。

壮大なキャラの無駄遣い!

※このXフォースは、あのワンダーウーマン、ガル・ガドット嬢にSNSでツッコミを入れられた、曰く付きのチームです(笑)

チームメンバーでわたしのオススメは断然ピーター

でも、ドミノは素敵だわぁ。

そしてまさかのブラピ登場!!!!
(解った方は死ぬほど笑ったでしょう?)

ワンダーウーマンがデッドプールに「パクり」抗議!複数ヒーロー巻き込む論争に - FRONTROW


⑧チームが自滅…じゃなかった、全滅(笑)の危機に瀕しながらもケーブルと対決する俺ちゃんだったが、救出相手のファイヤー・フィストくんがそれを拒否。

 少年は自分を受け入れてくれたジャガーノートを味方につけて、なんとケーブルとXフォースを撃退してしまうのです。


⑨戦闘の結果、下半身がお子ちゃまになってしまった俺ちゃん
そこへあろうことかケーブルが協力を求めにやって来るのです。

なぜ少年を付け狙うのか?

それは未来で成長したファイヤー・フィストがケーブルの家族を殺害したからなのでした。

 愛するものを失ってしまった痛みを期せずして共有したふたりは共闘を決意

 Xフォースの残党(笑)とコロッサスやネガソニックも参戦してジャガーノートとファイヤー・フィストと対決する俺ちゃん達。

 ファイヤー・フィストがこの時に殺人を犯してしまうことが、ケーブルの未来へ繋がるフラグになっているのです。

 俺ちゃんは彼らしいやり方でそのフラグを阻止します。


⑩自分を犠牲にすることで世界線の変更をしたデッドプールでしたが、その思いに打たれたケーブルは回数制限のあるタイムマシンを使って、さらに結末を操作。

誰も犠牲にならないように過去を改変し、しかもXフォースに加わるというケーブル
「俺に惚れたんだろ」
と言わんばかりにいちゃつく俺ちゃん。

そうです。

俺ちゃんは本作で自分の居場所、家族と呼べるほどの仲間を得ることができたのです。

だがしかし!

めでたし、めでたし・・・・と、いかないのがこの作品の憎いところ♪

ユキオとネガソニック達にタイムマシンを修理させた俺ちゃんが何をするのか・・・・

お待たせしました!
壮大な前フリを経て(笑)ラスト3分が本編です!!!!!

だって、本作の悲劇やら何やら全部チャラにしちゃうんだもの!!!!

何やってんスカ!!!!

俺ちゃんによる「過去改変」の痛快さ。

わたしは劇場で声を押し殺しながら笑い転げてしまいました。

あー、腹筋痛い。

挙句の果てに、
第四の壁を飛び越えて
俺ちゃんが最後に精算したものは…

だから、グリーンランタンはもういいじゃん!!!!

と、いうことで、本作はウェイドがさらに人間らしさを取り戻し、さらに悲劇すら無かったことにしてしまったというドク・ブラウン博士もびっくりなSFファンタジーになってしまいました。


バック・トゥー・ザ・フューチャーかい…

愛を得て、家族を得て、ようやく土台が整ったとも言えるこのシリーズ。

これは次回作への期待が否が応でも高まる!!!

前作でファンになった方も、そして初めてデッドプールを見た方も、

一緒に過去が改変されていないか、旧作品を見直しましょう!

わたし、さっそくウルヴァリン: X-MEN ZERO観ちゃう!

忽那汐里ちゃん、もう少し喋らせてあげてよ!

ま、ウェイドがヴァネッサ以外で彼女にだけは愛想良かったのもツボだけど。

トリビアもどうぞ。
デッドプールのあなたが知らない驚きの事実26選 | ciatr[シアター]
ネタバレ注意!『デッドプール2』トリビア15選【大物俳優がカメオ出演!】 | ciatr[シアター]
2018年映画鑑賞 184本目

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◆overview◆


・原題:Deadpool 2 2018年公開
・上映時間:120分

・監督:デビッド・リーチ(ジョンウィックで犬を殺したやつ)
代表作:『ジョン・ウィック』シリーズ 『アトミック・ブロンド』
・脚本:
レット・リース
ポール・ワーニック
ライアン・レイノルズ
    

・メイン・キャスト
ライアン・レイノルズ
ジョシュ・ブローリン
ザジー・ビーツ
モリーナ・バッカリン
ジュリアン・デニソン
レスリー・アガムズ
T・J・ミラー
ブリアナ・ヒルデブランド
カラン・ソーニ
ジャック・ケシー
忽那汐里

2018/04/08

海外ドラマ_このサイテーな世界の終わり(評価/★:4)感想~こういうのを青春っていうんだよ~【ドラマレビュー】

The End of the F**king World | Official Trailer [HD] | Netflix
Netflix このサイテーな世界の終わり 感想 評価 オススメ


◆ このサイテーな世界の終わり 鑑賞◆


評価/オススメ:★★★★
文月的採点(41/50点) 

この作品ジャンルは?:ブラック・コメディ

オススメしたい人は?:いわゆる『大人』になってしまった30代以降

印象を一言で?:あの頃の感じたものを忘れていた。

グロテスクですか?:グロテスクに見えたなら、それはあなたの心が老いてしまった証拠です。


◆synopsis◆


サイコパスの少年と、人生のすべてを変えたい少女が思いついたロードトリップ。
けど、その道程は、思った以上に山あり谷ありで…。
漫画が原作のブラックコメディ。

※公式HPより(Netflix)

あらすじは短すぎるので、予告編を見てください。


◆comment◆


2017年末から配信中。

Netflix限定 このサイテーな世界の終わり/全8話

こういうのを待っていた。。。。
そしてこういうドラマと出会えてよかった。

Netflix限定にするにはもったいない。
本当にもっと広くいろいろな人に観てほしい作品。

いろいろな方が山のように記事にしているから、今回はネタバレはパスです。

だけど、これはブラック・コメディという形を取っているけど、
ものすごく真面目な青春ロードムービー

こういうを青春っていうんだよなぁ。

現代版のボニー&クライド。
日本で言うなら「盗んだバイクで走り出す〜♬」
そういう方面のお話。

彼と彼女らの逃避行って「わかる、わかる」と頷いてしまうんだけど、
「言葉にならない部分の鬱屈、不満、持て余した何か」が多すぎて、
観る人それぞれに抱くものが違うはずです。

予告編から解るように主人公は17歳のふたりです。

彼・ジェームスは「殺人願望を抱くサイコパス」
彼女・アリッサは「世界なんて信じていないヤンデレ」

こんなふたりが出会うことで回り始める歯車。

完全に動機が一致しないふたりの気持ちが、最終話にかけてまったく変わったものになっていく。
それも良い方向に。

包み隠すことなく感情を表現するアリッサの姿って、良くも悪くも17歳ぐらいなら誰でも感じていただろうし、言いたかった事を代弁している言わば若者の「表面」の姿だ。

そして、ぐっと心の内側に湧き上がる黒い感情と会話を続けるジェームスの言葉も同じはず。
彼は若者の「内面」を表現している。

互いに足らない部分を一緒に過ごす中で、ぶつけ合い、そして手を取り合うことで埋めていくふたり。

結果としてとんでもない事件を引き起こしてしまうのは、そんな若者たちの純粋であるが故の「危うさ」を象徴している。。。

皮肉や風刺たっぷりに大人の論理と大人未満の間で苦しむ彼らを描いた各エピソードは観始めると止まらなくなる。

わたしは一日で全部観てしまいました。

状況からすると仕方がなかったとは言え、重罪を犯してしまったために、
「鬱屈した今からの逃避」ではなく「本当の逃避行」になってしまう悲劇性。

本当はサイコパスなんかではなかったジェームス
自分の居場所を探したいだけだったアリッサ

旅を通してふたりが辿り着いたのは「地図上の場所」ではなかった。

ようやく答えらしきものを掴みかけたその時に、現実という最後の敵が顔を出すのでした。。。

最終話のラストカット。

とんでもなく「悲しく」そして「美しい」最後の逃避行。

こんなに切なくさせるシーンに出会えるとは思いませんでした。

しばらく呆然としてしまいました。

この作品を観て顔を顰めてしまうのは本当に『大人』になってしまった人か、「あの頃」に拳を握りしめるような気持ちを抱かなかった、ある意味で幸せな人なんでしょうなぁ。

これは名作。

申し訳ないけどここまで完成度が高いドラマを観ると、最近の邦画や小説の青春ドラマとされる作品のお気楽さに気恥ずかしい思いもしてしまう。

こういう危うさも青春っていうんだと、わたしは言いたい。

ものすごくどうでもいいのですが、主人公のジェームス君は◯ャダインさんではありません。

#このサイテーな世界の終わり
#Netflix
#海外ドラマ

post from #pixelbook

◆overview◆


・Netflix限定ドラマ
・原題:The End of the F**king World 2017年公開
・全8話

・メイン・キャスト
ジェシカ・バーデン
アレックス・ロウザー
スティーヴ・オーラム他


2018/03/30

映画_ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男(評価/★:3.5)感想~そしてダンケルクへ…~【映画レビュー】


『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』90秒予告編
映画 ウィンストンチャーチル 感想 評価 レビュー



◆ ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男 鑑賞◆


評価/オススメ:★★★☆

文月的採点(35/50点) 
この作品ジャンルは?:歴史/ヒューマンドラマ

オススメしたい人は?:『ダンケルク』を鑑賞した人

印象を一言で?:誰だって責任を負うことには躊躇うもの

グロテスクですか?:いいえ

◆synopsis◆


1940年5月、第二次世界大戦初期。
ヒトラー率いるナチス・ドイツの勢力が拡大し、フランスは陥落間近、イギリスにも侵略の脅威が迫っていた。
内閣不信任決議が出されたチェンバレン首相の後任として、外相のハリファックスが最適任者だという声があがるが、本人はこれを固辞。
そこで、国民からの人気は高いが、たび重なる失策から政党内の “嫌われ者”であったウィンストン・チャーチルに白羽の矢が立つ。
朝から酒をたしなむ変わり者の夫を叱咤激励する妻クレメンティーンや、気難しくもウィットとユーモアに富んだチャーチルの言葉をタイピングする秘書エリザベスのサポートを受けながら、国難に陥ったイギリスの新首相に就任したチャーチルは、ドイツとの和平交渉をすすめるチェンバレンとハリファックスらに陰口を叩かれながらも、「決して屈しない」と徹底抗戦を誓う。

そんななか、ドイツ軍に追い込まれた英国軍はフランス・ダンケルクの海岸まで撤退し孤立状態となっていた。
30万人もの兵士が包囲され、救出するすべがない。
ならば彼ら兵士を救うべく船をダンケルクへ向かわせるのだ、大型船はもちろん、ボートや小型船など民間の船もすべて召集して。
こうしてダイナモ作戦が実行された。

日に日にナチス・ドイツの勢いは増す一方で、英国にも上陸の危機が迫る。
ヒトラーに屈するのか、それとも戦うのか。
ヨーロッパのみならず世界の運命がチャーチルの手に委ねられた。
日々悩み、葛藤するチャーチル。
そんな彼の姿に、就任当初はチャーチルに対して懐疑的だった英国王ジョージ6世も心を開き、二人は絆を育む。

そしてついに、チャーチルは歴史的決断を下す。

※公式HPより

◆comment◆


2018.3.30本日から公開の映画です。

ゲイリー・オールドマンをして「サンキュー、カズ」と言わしめた、
日本が誇る辻一弘さんが特殊メイク/ヘア&メイクデザインとして参加している作品。
アカデミー賞の授賞式が記憶に新しいですね。 

よって、注目度が余計に高まっていて、気になる人も多いのではないでしょうか?

本作は2017年に公開されたヒット作『ダンケルク』
(クリストファー・ノーラン監督)
のまさに舞台裏を描いた作品です。

チャーチルの生涯を描いたものではなく1940年5月10日の首相就任から29日のダンケルク撤退までのごくごく短い期間を描いた作品となっています。

また、戦争スペクタクル映画ではなく、イギリスとひいてはヨーロッパの運命を変えたこの激動の期間、チャーチルとその周囲が何を悩み、そしてどのような決断が行われたのかという過程がメインです。
派手なアクションはありませんのでご注意ください。
どちらかと言えばケビン・コスナーの「13日間」(2000年)に近い形の作品です。

奇しくも『ダンケルク』と表裏一体となってしまった本作。
2作まとめて鑑賞した方のほうが、いろいろなところが繋がっていることを想像する楽しみがあると思いますね。

映画『ダンケルク』についてのわたしの紹介記事はこちら↓↓
映画_ダンケルク 感想 (評価/★:5)~逃げるもの、追うもの、そして救うもの~【映画レビュー】

さて。

辻さん効果も相まって諸手を挙げた絶賛の嵐が吹き荒れるのかなぁと思いますが、

文月としては「ちょっと待てよ」と頭の片隅に警告ランプが点灯したのでした。

断っておきますが、辻さんのお仕事は最高です。

全く骨格の違うゲイリー・オールドマンをチャーチルに仕立て上げたのは魔法と表現するしかありません。

わたしが少し引っかかったのは「『チャーチル素敵!』と何も考えずにヒャッハーしちゃうのはどうかな?」という点でした。

人にはそれぞれ役割があって、
受け持つ役割に応じて伸し掛かる
「結果と責任」
が違うもの。

『オペラ』の様に展開する『実話』

これほどまでに『ドラマチック』な現実はそうそう無い。

時代そのものが『壮大な神話』の様だったあの時。

本作がどこまで事実に虚構を織り交ぜて作ったのかは、その方面に特化した方の論ずるところに譲りますが、これは実際にあった出来事なのです。

第2次大戦も、チャーチルの首相就任も、ダンケルクの撤退も、その後の戦火も、そして現代のわたしたちの生活も。

本作は政治家であり、父であり、夫であり、孤独を感じるひとりの男であるチャーチルそのものを非常に魅力的に描いています。

オープニングでチャーチルが顔に似合わず
ピンクのガウンを着て
ベッドから起き出すシーンからしてかなり『可愛い』のですが。思わず笑っちゃいました。。。

ピンクのガウンを着ているのは奥様に『子豚ちゃん』と呼ばれているからなんですがね。
それだけでも好感度あがっちゃうわ。

短気で、気難しく、酒と葉巻好きな小うるさいおじさん、という性格も冒頭でさらりと観せたり、強面のチャーチルが奥様にはけちょんけちょんに言われて、随伴する部下に「ちょっと席を外してくれ」と言い、一生懸命出会った頃の話を持ち出しながらなだめるシーン、
トイレに篭ってルーズベルト大統領に電話で「このままでは負ける」と独白するシーンなど、彼の人間らしいところをここまで描いた作品は少ないので、それは非常に良かったんですよ。

エピソードには事欠かないであろうチャーチル「らしさ」とリスペクトをゲイリー・オールドマンが見事に演じているのは映画としてはとても素晴らしい。

チャーチルが突然地下鉄に乗る重要なシーンは思わず涙ぐみました。
あのシーン好き。
実話なんだろうか、実話ならなおさら感動

だけど
本作は決して「政治家」を賛美する作品ではない
のです。

ダンケルクの成果を本作のポスターでも強調したあざとい書き方をしているのですが、その影で犠牲になった人々にもきちんと触れています。

そしてイギリスだとしても、アメリカだとしても、最も重い責任を押し付けておきながら、その人間を批判し、利用しようとする、言ってみれば「足の引っ張り合い」も演じている
「政治」そのものへの皮肉をドラマチックな演出を伴いながらも垣間見れます。

舞台が古代でも、中世でも、近世でも、そうした「決めることができる」特権を持った人間たちの誤謬、迷い、駆け引きの結果でわたしたちは左右されてしまう。

そして特権を持った人間達ですら、失敗の責任を負ってしまうような決断は「誰か他の人間にやってもらいたい」としている構図がありありと見えてくるのです。

チャーチルは結果的に歴史に名を残す政治家になりましたが、彼だって十全ではなかった。
劇中でも過去の失策をなじられて激昂する場面もあります。

とは言え、結局「誰かが決断をして、ひとりで責任を背負い込んで」世界は動いている。

責任を取らなくて良い立場にいる人間(大多数のわれわれ)はそういう意味で幸せなんだろうけど、そのあり方が問われる。

チェンバレンとハリファックス卿が本作ではその側面を代表して結果的に悪役を担っているのだけど、彼らを100%悪だと言い切れないところに、わたしたちが生きている世界のどうしようもない所があるんだと考えます。

そして決断を迫られ、責任を負わされる側のチャーチルの「孤独」

皮肉を言われ、怒り、イライラし、眠れなくなり、気力を失いかけてしまうあの姿…

就任から20日も経っていないのに、あれほど追い詰められていくひとりの男。

わたしたちも彼ほどではないけど「何かを決断して」生きている。

賛美されることなんてほとんどないけど、自分に足りないのは、チャーチルのように「言葉の力」で世界を動かしてしまう人間としてのスケールなんだろう。

それでも煙に巻いたような扇動的な演説だ!と耳の肥えた方は思うかもしれない。
(わたしもちょっと思っちゃったんですがね。具体的な事ではなく、精神論だけのように聞こえちゃうんですから)

それも「あの時代」をひとつの象徴なんだろう。

もっと「言葉」で世界を動かした男が、ヨーロッパからチャーチルを睨み付けていたのだから。


2018年映画鑑賞 110本目

post from #pixelbook

◆overview◆


・原題:Darkest Hour 2017年公開
・上映時間:125分

・監督:ジョー・ライト
代表作:『PAN ネバーランド、夢のはじまり』『アンナ・カレーニナ』
・脚本:アンソニー・マッカーテン
・特殊メイク/ヘア&メイクデザイン 辻一弘     

・メイン・キャスト

ゲイリー・オールドマン
クリスティン・スコット・トーマス

リリー・ジェームズ
スティーブン・ディレイン
ロナルド・ピックアップ
ベン・メンデルソーン

2018/03/07

映画_ダウンサイズ(評価/★:3)ネタバレあり感想~「小さな世界」の実は「大きな話」~【映画レビュー】

『ダウンサイズ』予告編
マッド・デイモン主演映画 ダウンサイズ 感想 評価 レビュー 


◆ダウンサイズ  鑑賞◆


評価/オススメ:★★★

文月的採点(32/50点) 
ダウンサイズ 感想 評価 レビュー

この作品ジャンルは?:ドラマ

オススメしたい人は?:大作だと疲れちゃう方。

印象を一言で?:コメディじゃ、ない、だと。

グロテスクですか?:いいえ。


◆synopsis◆


人口が増え続け、住みづらくなってしまった地球。
科学の進化によって、なんと人間を1/14に縮小する技術が発見された。
ネブラスカ州オマハに住む、いたって平凡な夫婦、ポール(マット・デイモン)と妻オードリー(クリステン・ウィグ)。
低収入でストレスの多い日々を送る二人は、大金持ちで、大豪邸に住めるダウンサイズされた世界に希望を抱き、13cmになる決意をする。

しかし、ミニチュア化したポールに待ち受けるのは予想外の人生だった…。


※公式HPより

※ネタバレ防止に付き、一部文月加筆訂正


◆comment◆


ちょっと遅れましたが2018.03.02より公開の映画です。

アカデミー賞やら他の大作映画の影ですが、こんな映画もやってます。

「絶対に取り残される男」マッド・デイモン主演。

本作でもお約束どおり取り残されます(笑)

意外や意外、懐かしのミクロキッズ的なノリだけかと思いきや、ちゃんと社会派していました。

前半は笑って、後半はちょっと考える、そんな映画です。

環境問題、食糧問題、格差問題、そしてモラルに警鐘を鳴らすのに、こういう表現もありましたな。


わたしの中では永遠に「天才少年ドギー・ハウザー」ニール・パトリック・ハリスもチョイ役で出演していたのはwowポイント。


ヨーロッパの研究機関が生み出したのは、生物をミニチュアサイズに縮小する技術でした。

どうしてそんな技術を研究していたかというと、先述した各種の問題を解決するためだったんですな。

SFアニメ「マクロス」好きにはお馴染みの「マイクローン化」を地で行ってます。

予告編でもフォーカスされているように、14分の1のサイズになったわたしたちの生活設計や生活様式も縮小される、、、、だから、資産価値にも大幅に変わりますというノリなんです。

ま、これは今の稼ぎのままで、生活費が概ね14分の1になるという生活を電卓叩いて思い浮かべてみると解りやすいです(物価の安い外国へ移住するようなもの)

そして必要な資源も土地も食料もエネルギーも激減する。

飽和状態の現代において、新たな開拓地を求めるのではなく、われわれがダウンサイズすればいいのでは?

「使いすぎている」わたしたちへの皮肉めいた解決策。

生物学的処置をしてしまうと「もう元には戻れない」という制約はあるものの、ダウンサイズをすることで、夢のような豪邸での贅沢三昧な暮らしを手に入れられる。。。。

こんな夢のような人生を送ることができ、かつ、地球環境にも優しい。

劇中の前半はまさしく「夢のような技術で、夢のような生活を手に入れられる」ことが強調されています。

マッド・デイモン演じる主人公夫婦も「決して裕福ではない」いわゆるわれわれの層であり、自身の経済状況から良い家も、子供すら持てないような状況。

似たような環境だった友人たちが今の生活を全部捨てて「ダウンサイズ」し、そしてダウンサイズされた人が住む街に移住して生活が一変していくのを目の当たりにし、自分たちもとそれを望むのは決して不自然ではないのです。

結局のところ環境問題というよりも「生活のため」に、「より良い生活のために」ということを墓標すると、、、

勘の良い人にはお解りでしょうけど「富裕層」と「貧困層」が大量になだれ込むことになりますね。(それにダウンサイズの技術が流出し、独裁者が制裁のために粛清対象を小人化することも発生)

するとどうでしょう?

ダウンサイズされた人が住む世界でも「格差」は埋まらず結局街が2分化してしまいます。

富めるものは、より富み。富を求めたものは、苦しむことになる。

そして描写としては短かったですが「ダウンサイズされた人の人権」「権利行使」の問題についても解決するべき問題として挙げられています。

と、いう「よく考えれば重いこと」がパラパラ漫画のように立て続けにに描かれた前半。

最大の見せ場は「ダウンサイズ」の工程ですね。

本人の同意から始まるこの一連の作業は画一化されライン化されたまさに「小人製造工場」キッチュでコミカライズされたこの一連のシーンは面白い。

そして「絶対にひとりだけ取り残される男」マッド・デイモン。

今回の「取り残され方」は物理的<精神的なものです。

だって、奥さんは途中で「ダウンサイズ」を断ってしまうんです!

これはマッド・デイモンではなくても、絶望に近い感情を覚えるでしょう。。。。

後戻りできない選択肢を前にすると、どうしても揺れてしまうのが人情というもの。

奥さんにいい生活をしてもらいたいという思いで「ダウンサイズ」を決めたという側面も有り、夢のような生活が一気に色褪せてしまうのも無理はありません。

このどうしようもない「別れ」から、物語のベクトルが「人間ドラマ」へと変化していきます。

かなりいい味を出している、本当の主要メンバーが登場。

失意の日々を過ごす彼がクリストフ・ヴァルツ演じるめちゃくちゃ快楽主義者なセレブや「本当のヒロイン」であるホン・チャウ演じるベトナム人人権活動家との邂逅と、彼女とマッド・デイモンの凸凹コンビ結成、そしてその過程で「小人の街」が抱える裏の姿を目の当たりする。

*冷酷なナチス将校のイメージしか無いクリストフが独特の訛りのある英語で、しかも快楽主義で楽観主義のセレブを演じているというのもウケます。

*そして、ホン・チャウの(わざとだろうけど)これまたコテコテの片言の英語を使った直球勝負のコミュニケーション、そして「考えるより、今目の前の人のためにやれ」の実践的な人助け精神も魅力です。

全てがそうだと断言はできないけれど「ここではない、どこか別の場所なら」幸せになれるとは限らないし、「価値のある行動だと信じて、何かに参加すれば」生きがいを感じられるとも限らない。

セレブの乱痴気騒ぎの裏側にある非セレブの生活。

「なりふり構わず行動すること」で人助けをすることと、「これは社会貢献だ」と信じて目の前のことを瑣末なことだと目をつぶることへの問いかけ。

場所なのか?環境なのか?

資産なのか?思想なのか?

社会貢献優先なのか?自分の人生を優先するのか?

この物語はおそらくどれも間違いではない様々な価値観を提示していきます。

今と未来を悲嘆して、小人になった自分たちを崇高な使命の持ち主だと信じて『方舟』となることを選ぶ人々を「あんなのカルトだ」と皮肉る楽天家のセレブであるクリストフ・ヴァルツに魅力を感じてしまうのはわたしだけではないはず。

マッド・デイモンは自分の悲しみや孤独を埋めるために崇高な理念に浸ろうとするのですが、それでいいのか?

そう。

それでいいのか?

このお話の根っこにあるのは、こんな疑問なのです。

お話のオチとしてはこれこそ王道で、これが逆に言えばこの作品を「チープ」だと言わしめるであろう、お説教めいた「場所でもお金でも容姿でもない、気持ちなんだよ」というもの。

嫌いではないですが、こういうエンディングにも一言。

それでいいのか?

と、疑問を投げかけてしまいましょう。

しっかし、前半は「取り残された」マッド・デイモンがクライマックスでは「取り残す側」にブレてしまうとは。。。

おーい!!戻ってこーい!!!

とお約束な展開にも関わらず、思わず叫んでしまうこと、祈ってしまうこと必至です。

アカデミー賞の映画を観よう、MARVELでヒャッハーしよう、テロに立ち向かった人の映画を観よう。

それでいいのでしょうし、それでいいのでしょうか?

そんな禅問答にも似た不思議なお話でした。

マッドデイモン。。。

おっさんになったなぁ。

それでいいのか?

あーーー、今月末の「チャーチル」を観ても、それでいいのか?と言ってしまいそう(笑)

2018年映画鑑賞 56本目

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◆overview◆


・原題:Downsizing 2017年公開(アメリカ)
・上映時間:135分

・監督:アレクサンダー・ペイン
代表作:『パリ、ジュテーム』『ファミリー・ツリー』など
・脚本:
アレクサンダー・ペイン
ジム・テイラー   

・メイン・キャスト
マット・デイモン
クリステン・ウィグ
クリストフ・ヴァルツ
ホン・チャウ
ウド・キア
ジェイソン・サダイキス
ニール・パトリック・ハリス


2018/03/01

映画_シェイプ・オブ・ウォーター(評価/★:4)ネタバレあり感想~形(シェイプ)などない、必要ない、と言える作家の勇気~【映画レビュー】

『シェイプ・オブ・ウォーター』日本版予告編

映画 シェイプ・オブ・ウォーター 感想 評価 レビュー


◆ シェイプ・オブ・ウォーター 鑑賞◆

祝!アカデミー賞 作品賞 他4冠達成!!!

評価/オススメ:★★★★

文月的採点(42/50点) 

この作品ジャンルは?:ドラマ/ファンタジー

オススメしたい人は?:「物語」を愛するすべての人

印象を一言で?:シンプルな物語ほど、難しく、そして美しいものはない。

グロテスクですか?:いいえ。

◆synopsis◆


1962年、アメリカ。政府の極秘研究所に勤めるイライザは、
秘かに運び込まれた不思議な生きものを見てしまう。

アマゾンの奥地で神のように崇められていたという“彼”の奇妙だが、
どこか魅惑的な姿に心を奪われたイライザは、周囲の目を盗んで会いに行くようになる。

子供の頃のトラウマで声が出せないイライザだったが、
“彼”とのコミュニケーションに言葉は必要なかった。

音楽とダンスに手話、そして熱い眼差しで二人の心が通い始めた時、
イライザは“彼”が間もなく国家の威信をかけた実験の犠牲になると知る─。

※公式HPより

◆comment◆


デル・トロが描き出す現代の「おとぎ話」

それが本作でした。

かつて「物語」とは特別なものだった。

思い出してみましょう。

映画を観ることとは、劇場にわざわざ予定を作って行き、お金を払い、鑑賞することで特別な時間を過ごす行為そのものでした。

小説を読むこととは、本屋や図書館で探し、何かを感じて手に取り、お金を払い、ページをめくりながら浸るこちらも特別な時間を過ごす行為そのものでした。

特別な時間を創り出すことのできるクリエイター、作家とは雲の上の人でした。

その人達が創り出す「異世界」「ファンタジー」が物語でした。

かつて「特別な時間」をわざわざ設けて楽しむべきだった物語が、今ではパソコンがあれば、そしてネットがあれば、スマホがあれば、まるでチューインガムを取り出して食べるように、味わうことが、世に送り出すことができるようになっています。

テクノロジーの進化のお陰でさまざまなチャネルが増え、また、手軽にわたしたち自身も発表できるようになり「物語」が身近になりました。

それは取りも直さず、分母が大きくなったが故に物語が相対化してしまうという事にも繋がったと考えています。

後述しますが小島秀夫監督も本作についてのコラムにて書いているように、ゲームでも、アニメでも、実写映画でも、小説でも利益と効率の名のもとに尖った「作家性」を今の社会は求めなくなってきているのでしょう

最小公倍数への訴求が強くなるあまり、語弊があるだろうけど「安易な」「ウケやすい」「解りやすい」ものが良いものとされ、いつの間にかわたしたちは複雑な想像や思考を求めるような作品に触れることを忌避しているのではないでしょうか?

そうした意味では、参加することに意義があるという様な感覚で物を語るという行為は、本来の創作の意図のすることではないでしょうね。。。

そもそも今では映画にせよ、小説にせよ、学ぶための学校や自由に参加できる投稿サイトがあり、また講師がいて、テキストがあって、減点式に採点されるような仕組みで創られていく過程が浸透してしまっている以上、物語を「かくあれかし」の定形に押し込めてしまう≒創り手も受け手も、語弊はありますが、結果として楽に安心して語る≒観る・読むようになってしまうという危惧はついて回るし、実際そういう傾向で評価する流れが強くなっているように思えます。

作品の質ではなく(いろんな意味の)量・数だとか、よく解らない物差しで評価されていく。
「今日誰かに恋をしました」という記録を物語だと言ってほくそ笑んでいたり、
あんまり美味しくなかったけど何故か行列のできていたラーメン屋みたいだった物語もあるものです。

話が逸れました。

デル・トロという監督は「作家性」を押し通せる稀有な監督であると、不覚にも本作を鑑賞することで思い知ったのです。

それは誰もが知っている「おとぎ話」をデル・トロ流に描いてみせたところに如実に現れているのでした。あえて「かくあれかし」を「作家として再構築」してみせたのです。

「作家性の否定」に対する彼一流のセンスとユーモアを使った皮肉。

パシフィック・リムの様な大振りなタイトルではなく、彼の手腕は「シェイプ・オブ・ウォーター」のような作品にこそ発揮されているんだな、、、、彼の作家性にこれまできちんと向き合わなかった自分が恥ずかしくなりました。

かつてわたしたちが「特別な時間」を過ごすためにあった「物語」を彼なりに再構築し、
物語とは何を描いていても結局のところ「ファンタジー」なのだと言ってみせた。

シンプルなストーリーに散りばめられたメッセージが際立っているのは、彼の手腕なのです。

難しく、テクニカルな物語も素晴らしいし、わたしも大好きなのですが、
デル・トロ監督はあえてシンプルな手法で「現代の人魚姫」を世に放って見せたのです。

ネタバレというのも、本作ではあまり意味を持たない要素になります。

というのも本作では目を見張るような特異な要素は『あらかじめ開示されている』作品だからなのです。そして誰もがおそらく知っている話をモチーフにしているからです。

公式サイトに書いてあるあらすじだけで、概ね誰もが思い描けるストーリーラインで展開します。

ただし、これでは紹介記事としてあまりにも味気がない。

わたしとしては本作を是非たくさんの人に楽しんでもらいたいので、補足をしますと、
アプローチとしては「ビッグ・フィッシュ」(2003)や強引ですが「フォレスト・ガンプ」(1994)の様に現代劇を寓話に、ファンタジーとして観る側を引き込んでいくような作品です。

そしてデル・トロ監督は「物語が相対化してしまった現代」においては、「おとぎ話」と言えども「単純にめでたしめでたしで終わる話ではない」ということを描いています。
現にオリジナルの人魚姫も厳密に言えばハッピーエンドではないと思う。

シンプルであるからつまらない、と切って捨てる人もいるでしょう。

え?これってネタバレしてる記事見ると、結局何だか良く解らない怪物と女の人が結ばれる話なんでしょ?

そうです。

その通りであり、こんなにも短い言葉で言える話なのです。

でも最初からそういう話だと発表しているのです。

この潔いまでのスタンスで映画化するということがどれほど凄まじいかは、マジシャンが最初から種明かしをした上でショーを行って、客を感動させようとしているようなもの、と表現すれば伝わるでしょうか?

真新しいところがないから、どんな話であるかを知っているからこそ、単純に駄作だと切り捨てられるリスクの方が大きい。

下手なクリエーターならやれイケメンだ、アイドルだ、並行世界だ、隕石だ、爆発だ、モンスターだ、ゴア表現だ、として過剰な装飾を施して作品そのものの焦点を誤魔化すか、そもそも手を出さないであろうことに取り組んだデル・トロ。

彼はこれだけ情報が飽和した現代においてこそ、
物語とは単に「伝え方の問題」
だとシンプルに考えているのでした。

こんなにもシンプルなログラインの物語を観て、わたしはラストシーンでほろりと涙を流せたのでした。それを既定路線だとか、安いだとか言われることも、おそらく知った上で製作しているのです。


ストーリーのシンプルさとは裏腹に、登場人物らの関係性は立体的です。

そのシンプルさは映し出される世界観にも反映されていて、ある意味でコミカライズされて凝縮された60年代のアメリカが垣間見れます。

そして貧しくも楽しく(満ち足りているとはしていないのがミソ)生きようとする市民がいて、メロウな歌があり、映画があり、暮らしがあった。
今ほど複雑に生活が入り組むこともなく、昼と夜はきちんと別れていて、見たいものだけ見ていることができた時があった。

もちろんこんな夢のような世界ではなかっただろうけど、今を生きるわたしたちにとって
「あの時代」はすでにファンタジーなんだ。
それは日本においても「昭和」がすでにファンタジーであるのと同じだ。
(NHKなんかが近年しきりにその時代近辺の連ドラを作っていることが象徴しています。それはまだ時代劇とも違うふわふわとした年代で物語が付け入る余地が大いにあるのです)

舞台は冷戦時代。世界が西と東に分断されていた時代です。

映画館の上の安アパートメントに暮らしている主人公は、トラウマによって声を失った女性清掃員。
華やかな昼の世界ではなく、世間が寝静まった夜の世界でひっそりと生きています。
(そんなことはないのですが、美人ではない、と劇中でも言われます)

心を許す数少ない友人は職を失った老画家(腕は良いのに、時代は絵ではなく写真を求める中で職を失い、そして性的マイノリティーでもあります)と、特に当時は差別の対象であった黒人の女性。
(※この女性、ほぼ同時代が舞台だった「ドリーム」でも好演のオクタビア・スペンサーが演じていて、「ドリーム」の実験施設を髣髴とさせるようなシーンで毒づくなど、ニヤリできるシーンもあります)

憎たらしい本作の敵役は(実は彼も悩んでいるのですが)一見華やかに出世コースを歩んでいるような軍人。
(ステレオタイプにフォードの新車を乗り回したり、ブロンド美人の奥さんと郊外の邸宅に住んでいるなど、主人公らとの対比が小気味いい。愛と言いますか、自分の欲求の吐き出し方についても比較されて描かれています。あんなのが普通ではない、と怒る人もいるだろうけど、否定はできないだろうと)

その間に現れるのが“彼”。

アマゾンで捕獲されたという、正体不明の生き物。

醜いという人もいれば、美しいと表現する人もいる。

“彼”を利用しようとする人もいれば、助けようとする人もいる。

ただひとり“彼”と心を通わせようとしたのが主人公の彼女なのです。

「人魚姫」では人間に恋した人魚が、人間になるため(人間になったがゆえに)に様々な苦難にあうのですが、本作ではその逆です。

人ならざるものと心を通わせてしまったが故に苦しむことになるのだけど、ところどころに垣間見えるデル・トロの仕掛けからすると、これだって「自分たちの側」とは違う思想あるいは色の「何か」を象徴させているとしか思えません。

だからこそデル・トロは「美しい人魚」ではなく「異形の何か」という形で“彼”を表現したのでしょう。

原住民からは「神」と崇められていたものも、文明社会では「汚らしい怪物」だと嫌悪される。痛めつけられる、隔離され、閉じ込められる。

“彼”を見る側の「常識や思想の土台」によって、評価の形(シェイプ)が全く違ってしまう。

それは“彼”を救おうとした主人公とその友人たち、協力者たちですら「同じ気持ち」で見ることができないところも描かれているのが非常に印象的です。

「あるもの」に対する憎悪も好意も、受ける側の「解釈」によってしまうのだという皮肉。

取りも直さず映画・ドラマ・舞台などという表現手法では「見えるものが全て」となってしまうので「見えない内面」についてはわたしたちの受信感度に委ねられてしまうのです。

また内面を語るのに小説は優れていますが、その言葉ですらひとつではない。
そして安易な読み方をすると言葉はイメージを、印象を、規定して縛ってしまう。

物語に触れることとは、実はどちらも洞窟から出口を探り出すような孤独で怖い行為なんですな。

故にどちらも「特別な時間」になり得るのだと思います。

シェイプ・オブ・ウォーターとは「観る側も試される」類の物語でもあるのです

ラストシーンですら「解釈」によってはハッピーエンドかバッドエンドかはっきり分かれるように描かれています。

あのモノローグを聞いて、本作をあくまでも「おとぎ話」として解釈をするなら、おそらくハッピーエンド。

そうでないなら、バッドエンド。

それは間違いなくオープニングから仕掛けられています。

「シェイプ・オブ・ウォーター」...水の形。

兵法書の孫子の一節にもあるように「水に常形なし」(水には一定の形はない)なのです。

それはすなわちこの物語には定形(世間的に目に見える評価、名声なんて)必要ない

そしてこの物語を「こう解釈しろ」という押し付けもしない。

こう言ってのけている勇気。

物語を愛するものとしてデル・トロら制作陣はこの様に言っているのだと、わたしは受け取りました。

いろいろな作家が、同じモチーフで再構築した物語を作ったら面白いなぁ。

アカデミー賞を受賞するとか、しないとか、そんなレベルの映画ではない。

こういう作品に生きているうちに出会えた。

本当に良かったと言える映画でした。

☆最後に、小島秀夫監督が本作について記事を書いていますので紹介します。
わたしがこんなに映画を観るようになったのは、まだ高校生だった頃から小島作品を遊び、小島監督の言葉をいつも聴いているからです。

ただ今回はやや激した論調で自身の製作についても書いている。

うむむ?どうした監督!と小島ファンは思うかも。

ただ、監督を取り巻くしがらみも非常に厄介だろうし、デル・トロが歩んできた道も同じようなもの。いちクリエイターとして共感できる部分が多かったことがふたりの友情を深めたんだろう。

ふたりは過去に「P.T.」を潰されたりしたし。

新作お待ちしています。

小島秀夫が観た『シェイプ・オブ・ウォーター』

2018年映画鑑賞 54本目

post from #pixelbook


◆overview◆


・原題:The Shape of Water 2017年公開
・上映時間:124分

・監督:ギレルモ・デル・トロ
代表作:『パシフィック・リム』『ホビット』『ヘルボーイ』など
・脚本:ギレルモ・デル・トロ
     

・メイン・キャスト
サリー・ホーキンス
マイケル・シャノンスト
リチャード・ジェンキンス
ダグ・ジョーンズ
マイケル・スタールバーグ
オクタビア・スペンサー
デビッド・ヒューレット
ニック・サーシー
ナイジェル・ベネット
ローレン・リー・スミス
マーティン・ローチ
モーガン・ケリー





2018/01/28

映画_ダーク・タワー(評価/★:3)感想~人を救うのは人なんだ~【映画レビュー】

映画「ダーク・タワー」日本版予告

映画 ダーク・タワー 感想 評価 レビュー ガンスリンガー スティーブン・キング


◆ ダーク・タワー 鑑賞◆


評価/オススメ:★★★

文月的採点(34/50点) 
映画 ダーク・タワー 感想 評価 レビュー スティーブン・キング
この作品ジャンルは?:ダークファンタジー

オススメしたい人は?:ちょっと孤独を感じている人。

印象を一言で?:ガンスリンガー主人公のゲーム化希望!生粋のキングファンからすると厳しい評価かも。

グロテスクですか?:ファンタジーですからね。他作品に比べれば怖くないです。


◆synopsis◆


ニューヨーク。
少年ジェイクは毎夜同じ夢にうなされていた。

“巨大なタワー”“拳銃使いの戦士”そして“魔術を操る黒衣の男”…


ある日、この現実世界と夢で見た≪中間世界≫と呼ばれる異界が時空を超えて繋がっている場所を発見する。

すべては実在したのだ――。


中間世界に導かれたジェイクは、そこで拳銃使い<ガンスリンガー>に出会う。
彼は2つの世界のバランスを保つ塔=ダークタワーの最後の守護者であり、タワーの破壊を目論む<黒衣の男>を倒すため旅を続けていた。


一方、ジェイクこそが唯一タワーを破壊できる特殊能力を秘めた存在であることに気づいた黒衣の男は、その強大なパワーを求め、ジェイクたちの前に立ちはだかるが――。

映画 ダーク・タワー 感想 評価 レビュー

※公式HPより

※ネタバレ防止に付き、一部文月加筆訂正

◆comment◆


2018.1.27より公開です。

本作、注目の作品というこもあり多数のレビューが上がっていますね。

キングのライフワークであり「キングホラー」の根幹を成す大作がどう映画化されるのか個人的には非常に楽しみでした。

わたし、10年ほど前にキングにドハマリして、当時出版されていた作品はほぼ読んだ口です。

短編集「幸運の25セント硬貨」は特に好き。
もちろん「スタンド・バイ・ミー」は永久保存版。
※あ!スタンド・バイ・ミーは映画も素敵ですが、原作の方がもっと切ないですよ!

本作をきっかけにまた読んでみたいと食指が動きました。

知らない方のために補足すると、スティーブン・キングが描いてきた代表作品のホラーの「根源」は本作で描かれるダーク・タワーと<中間世界>のゆらぎが原因とされているんです。

小ネタとしては最近話題になった『IT〜それが見えたら終わり〜』や、個人的にかなり好きな『ミスト』とも設定としては繋がっているんですな。
(映画版『ミスト』ではオープニングで主人公がダーク・タワーとガンスリンガーの絵を書いている、とか見返すと思わず頷く演出もされているからwow)
※ただし、それぞれ制作陣は別です。

本作の構成としては「第一章」として製作されている面が強く、単体作品として考えると納得できる完成度ではないように感じました。

ただし、早くも黒歴史化しそうなダークユニバースとは違い(ココ重要)キャラクターも、世界設定もきちんと描かれており、途中で飽きるようなことは無いと思います。

<中間世界>という、わたしたちの生きる世界とあちら側の間に位置する場所を巡る戦いという側面の他に、

自分の居場所≒使命

というものを見つけていくロードムービーやRPGの要素がかなり強く、わたしとしては超絶にかっこいいガンスリンガーのアクションとほぼ同じくらい、出会いがもたらす人生の変化を描いている点が評価点でした。

原作をまぁ、時間内に収めるために、コンパクトにまとめた感がある反面、壮大過ぎる世界をどう再定義するのか苦労したんだろうなと感じました。

原作の主要人物である孤高のガンスリンガー・ローランドと、彼の仲間であるジェイク少年の出会いの物語になっています。

キングの作品の特徴としては「日常」の中に潜む恐怖を引き出しているということ、あくまでも「人間」を描いているというところ。そして「10代」など、世界に対してまだ純粋であった頃に誰もが感じる/体験するであろう感情や通過儀礼を緻密に描いている点も多いということがあると思います。

ふとしたきっかけで「日常」というものが「恐怖」に変化する、見慣れた光景の「裏側」に潜む「得体の知れない、何か」。

例えば愛犬の散歩中にいつも見かけるあの人…。
毎回何かが入っている黒い袋を手からぶら下げているけど、あの中身ってなんだろう。
あれ、地面に何か…赤いんだけど。
愛犬が急に吠えだしてるんだけど…
マジ…あれって!?

というように「ホラー」というものが「フィクション」の中だけに存在しているのではないということをずーーっと訴えているというのもすごいし「グリーンマイル」などで見せた「怖いだけではない不思議な力」のギミックも号泣ものだし、「ショーシャンクの空に」「スタンド・バイ・ミー」の様な純粋な人間ドラマを描いている。
※ショーシャンクもスタンド・バイ・ミーもバケモノが出ないだけで怖い要素はあるんですけどね。

本作にしてみても<中間世界>というのは他のファンタジーにあるような剣と魔法の世界一辺倒ではなく西部開拓時代をベースにスチームパンクを彷彿とさせるような世界観。
(めちゃくちゃ笑った『ワイルド・ワイルド・ウエスト』程イッてないけど)

不思議な能力同士の対決といっても『マトリックス』の様なVFXはごくごく控えめだし、
全然関連性はないけどどちらかと言えばシュールな『コンスタンチン』を想起しましたな。

悪役というか、宿敵もあくまでも人間。
傑作『ダラス・バイヤーズクラブ』と『インターステラー』で泣かせたマシュー・マコノヒーのヒール振りはちょっと鼻につくほどだけど、これもファンタジーだからねぇと。

ということで、本作は長い旅路のほんの始まりを描いているんだ、『ダーク・タワー』とは何であるのか?という言ってみればイントロなんだと理解した上で鑑賞するなら、間口の広い作品になるでしょうね。
初めて『ダーク・タワー』に触れる人向けに解りやすい内容に仕上げているんだな、と。

もうひとりの主人公であるジェイク。

描き方としては『タワー』の揺らぎを感じやすく、その鍵を握る人物だという側面が強いのですが、実はその裏にある少年の孤独、葛藤、悩みこそ注目するべき点。

誰も理解してくれない(≒自分が理解しようとしていない)と孤独を感じ、ここではないどこかを渇望する姿、そして強い何かへの強烈な憧れ(≒自分の未熟さの反映)。

彼が劇中で迷い、恐怖に襲われ、異世界でガンスリンガーと出会い、そして失望し、対立し、そして勇気を振り絞る。

『IT〜』ではサラッと描かれていた「あの頃」のエッセンスが本作品では結構いい感じでしてわたしの注目ポイントはそこでした。

ガンスリンガーにしてみても、超絶かっこいい割に最初はかなり「やさぐれ」ていて、ジェイクと交流することで自分の使命を受け入れるという王道展開にはやはり胸が熱くなります。

キャッチコピーを作るのなら「ともに孤独な少年と戦士が見つけた『何か』。そのために生きる。これからも」といったものでしょうか。

あ!<中間世界>とこちらの世界が繋がっているため、ガンスリンガーとジェイクがニューヨークにやってくるシーンがあるんですが、そのシーンは思わずニヤリと笑えますヨ!

いわゆる『王国モノ』『指輪モノ』とは全く別なキングが創造したファンタジーの世界。

続編ありきということで、1作目の評価はちょっと低めですが、上映時間も96分と観やすいので劇場で鑑賞されても良いと思います。

それにしてもガンスリンガーのアクション、もう少し見せ場を作っても良かったんじゃないのぉ。

『リベリオン』並に!(笑)

ということで、今回はコンパクトに投稿させてもらいました。

だってこれから『スタンド・バイ・ミー』を再読するんだから!!

2018年映画鑑賞 27本目

post from #pixelbook

◆overview◆


・原題:The Dark Tower 2017年公開(アメリカ)
・上映時間:95分

・監督:ニコライ・アーセル
代表作:『特捜部Q シリーズ』『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』
・脚本:ニコライ・アーセル他
     

・メイン・キャスト
イドリス・エルバ
マシュー・マコノヒー
トム・テイラー
クラウディア・キム
フラン・クランツ
アビー・リー
ジャッキー・アール・ヘイリー

2017/12/15

映画_ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命(評価★:2)~注意:いわゆる動物ものではありません~【映画レビュー】

12月公開『ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命』予告編

ジェシカ・チャスティン主演で贈る感動の実話。オスカー・シンドラー、杉原千畝。彼らと同じように、ナチス当時かの悲惨な状況の中、自らの危険を冒してでも、ユダヤ人を救った夫婦がいた。『ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命』12月、TOHOシネマズみゆき座ほかにて全国公開

映画 ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命



◆ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命 鑑賞◆


評価/オススメ:★★

文月的採点(27/50点) 
映画 ユダヤ人を救った動物園 アントニーナの愛した命 評価 感想

この作品ジャンルは?:ヒューマンドラマ

オススメしたい人は?:うーむ。ご婦人方かな?

印象を一言で?:せっかくの意義のある題材を、なんで安い昼ドラにしたのか。

グロテスクですか?:そういうシーンはほぼありません。(強いて言うなら1シーン)

◆synopsis◆


1939年、ポーランド・ワルシャワ。

ヤンとアントニーナの若い夫妻は当時ヨーロッパ最大の規模を誇るワルシャワ動物園を営んでいた。

アントニーナの日課は毎朝園内を自転車で巡り動物たちに声をかけること。
時には動物たちのお産を手伝うほど献身的な愛を注いでいた。

しかしその年の秋、ドイツがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が勃発。


動物園の存続も危うくなる中、アントニーナはヒトラー直属の動物学者・ヘックから「あなたの動物を一緒に救おう」という言葉と共に希少動物を預かりたいと申し出を受ける。

寄り添うような言葉に心を許したアントニーナだったが、ヤンはその不可解な提案に不信感を募らせていた。

ヤンの予感はまさに的中し、数日後、立場を一転したヘックは「上官の命令だ」という理由をつけて園内の動物たちを撃ち殺すなど残虐な行為に出る。

一方でユダヤ人の多くは次々とゲットー(ユダヤ人強制居住区)へ連行されていく。

その状況を見かねた夫のヤンはアントニーナに「この動物園を隠れ家にする」という驚くべき提案をするのだが・・・・

※公式HPより

※ネタバレ防止に付き、一部文月訂正

◆comment◆


スターウォーズで大興奮中の文月です。

さて、17.12.15公開の映画からもう1本ご紹介。

こちらも気合い入れて記事にするつもりでしたが、

海原雄山


期待していたのに、、、ちょっと、残念。

題材は実在の人物であり、諸国民の中の正義の人にも認定されている夫婦。

時系列的には、ドイツのポーランド侵攻直前から、重要な要素としてワルシャワ蜂起にかけてを描きます。


『シンドラーのリスト』のオスカー・シンドラーなどと並んで宣伝しているようなのですが、本作、そこまでスケール感のある描き方をしていません。

そして、最大の勘違いを招きかねないビジュアルと邦題。

本作は厳密には「動物もの」ではないのです。

わたしも、もしかして『子象物語』(1986年)

映画 子象物語 武田鉄矢


のようなお話かとも考えていたのですが、それもそこまで描いている訳でもなく。

もちろん動物園を舞台にしていますからオープニングから導入部分にかけては様々な動物も登場しますし、主演のジェシカ・チャステイン演じるアントニーナがどれだけ天真爛漫で動物を愛しているのかが描かれていて、期待に胸を踊らせかけたのですが、、、え?それだけかい?という感じで、サラッと動物たちの描写は激減します。

わたし思わず、ん?ん?

*ちなみに子象物語。今はいろいろな大人の事情でお目にかかる機会は少ないと思います。
(わたしは子供の頃に見てトラウマ映画にランクイン。脂が乗った武田鉄矢さんが出演しているからではないのですが、とても意義深い映画です。)

だけど、せっかくの意義のある題材を、なんで安い昼ドラにしてしまったのか。

アントニーナが愛した命 という副題にも一言。

この邦題を考えた方の意図とは、きっとこのご婦人の分け隔てなく注ぐ愛情について言及しているのでしょうけど、

むしろ大変だったのは旦那さん・・・

もう少し、このご夫婦ふたりにフォーカスした副題にしてあげた方がいいです。

作品全体を観た後だと、

動物園のお話<ユダヤ人を救う勇気ある行動<ナチスから派遣された悪役との駆け引き
(コレが安い昼ドラにしてしまった最大の要因)

という比重で感じられてしまい、なんだかなぁ~とテンションが下がってしました。

昼ドラ部分はカットして、もっと彼ら夫婦が行った勇気ある行動と、逃げざるを得ない人々にフォーカスすればこの作品の意義はもっと大きくなったと思いました。

公式サイトにも書かれているのでネタバレでもないのですが、夫婦は動物園にナチスに追われたユダヤ人の方を匿うのですが、その描き方もそこまで濃厚ではありませんでした。
『サウルの息子』『シャトーブリアンからの手紙』『縞模様のパジャマの少年』らのような焦燥感、悲壮感、虚無感もない。

こちらよりにフォーカスしていないのが残念でなりません。

映画 ユダヤ人を救った動物園 ぶべら


なので、わたしとしてはレンタルで旧作になってから、何も観るものがなってからご覧になっても遅くはないと思います。ヒューマンドラマを求めてる方には、強くオススメはしません。

昼ドラになった瞬間に10分持たなかったDEATH。

デスキャンサー 文月 映画 ユダヤ人を救った動物園 評価 感想


ただ、わたしも好きだった「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年)の主人公であるマヤを演じたジェシカ・チャステインがいつ「そのクソッタレです、サー」と言い出すのかハラハラしていましたが、終始お淑やかなご婦人を演じられていたのは意外でした。

昼ドラのお相手というのが、シビルウォーのヘルムート・ジモ大佐(ダニエル・ブリュール)というのも笑えるポイントではあるのですけどね。
彼自体は好きですよ!
問題は脚本!

極端な話、ジェシカ・チャステインが可愛すぎるのがいけないのだろうな(笑)

あぁ、『女神の見えざる手』のようなキリリッとしたイメージ、『ゼロ・ダーク・サーティ』のようなタフなイメージが先行していましたが、意外。

本作についてはスターウォーズを観た興奮からすると、せっかくのいい話をどっち付かずの中途半端な方向に行ったり来たりさせてしまった製作側の意図に一気に覚めてしまい、あまりオススメできない作品に感じてしまいました。

勇気ある行動をされたご夫婦は本当に素晴らしいので、残念。

今年最後の劇場鑑賞かなぁ。

まだ行けるかなぁ。

『俺の獲物はビン・ラディン』をめちゃくちゃ観たいんだけどなぁ。

2017年映画鑑賞 231本目

post from #pixelbook


◆overview◆


・原題:The Zookeeper's Wife 2017年公開
・上映時間:127分

・監督:ニキ・カーロ
代表作:『クジラ島の少女』
・脚本:アンジェラ・ワークマン
     
・メイン・キャスト
ジェシカ・チャステイン
ダニエル・ブリュール
ヨハン・ヘルデンベルグ
マイケル・マケル

2017/11/23

映画_ギフテッド / Gifted 感想(評価/★:5!!)~こうして”おいたん”は”キャップ”になった ~【映画レビュー】

『gifted/ギフテッド』予告編

『(500)日のサマー』でセンセーショナルなデビューを飾ったマーク・ウェブ監督が贈るハートウォーミング・ファミリードラマの傑作『gifted/ギフテッド』が11月23日(木・祝)より日本公開! 主演は『キャプテン・アメリカ』シリーズのクリス・エヴァンスと、本作をきっかけに現代最高の子役スターの座に上り詰めた、大注目の新星マッケナ・グレイス。 ...

ギフテッド  / Gifted ポスター


◆ギフテッド  / Gifted 感想◆


評価/オススメ:★★★★★!!!!!!

文月的採点(44/50点) 
この作品ジャンルは?:ヒューマンドラマ

オススメしたい人は?:すべてのいわゆる『大人』の人

印象を一言で?:わたし、劇場でおいおいと泣いてしまいました。。。。
キュートな少女のピュアな心に瞬殺必至!

グロテスクですか?:グロテスクなのは、大人の事情です。


◆synopsis◆


フロリダに暮らすちょっと変わった2人と1匹の家族。

7歳の生意気ざかりのメアリーと、彼女の叔父でシングルのフランク、そして“歴史上一番すごい猫”のフレッドだ。

互いがいるだけで毎日が記念日のように楽しい時間はメアリーが学校へ行くことになり揺らぎ始める。

彼女には生まれながらにして数学の天才的な才能(ギフテッド)があった。

「普通に育てたい」

というメアリーの母である亡き姉の遺志に従って、フランクはメアリーの英才教育を頑なに拒む。

しかし、そこへ縁を切ったはずのフランクの母親が現れて彼からメアリーを奪おうとする。
歴史を変える才能の開花か、愛する者と生きる人生か

─果たして、メアリーにとってどちらが幸せなのか? 

悩めるフランクには、姉から託された“ある秘密”があった─。

※公式HPより


◆comment◆


2017.11.23 本日から公開です。
2018.06.02 からレンタル開始です。

ビッグタイトルが並ぶ11月のラインナップの中に本作が埋もれてしまうかもしれない!
そんな危惧を抱きながら鑑賞しました。

埋もれさせるにはもったいない!!!

けっこうズシンと胸に響くシーンがあって、クライマックスの重要なシーンからわたし
劇場で人目も憚らずハラハラとずっと泣いてしまいました。
(ちなみにわたしはダンケルクでも涙しましたが、今回のとは別の意味の涙でした)

これは、、、、駄目。

あのシーンは嗚咽ものだわ・・・

マッケンナ・グレイスちゃんは反則。

あ、わたし最近妙に涙腺崩壊するボーダーラインが非常ーーーーーーに(笑)緩くなっているようでして、涙活には困らなくなってきています。

先日も「君に読む物語」(2005年)をようやく鑑賞して、泣きはらしたクチです。
はい。


さて、”おいたん”と女の子の物語な本作。

誰しも親類の方がいて、絶対に交流しているとは思いますが、おじさん、おばさんと

わたしの場合、世代的に”おいたん”と耳にすると、自動的に脳内検索結果で最上位に表示されるものはもちろんこちらです。

ご存知、ジェーシー”おいたん” from フルハウス
(もちろんCV:堀内賢雄さん)

フルハウス ジェシーフルハウス


本作を観なければ、文月的には永遠に”大好きなおいたん”はジェシーおいたんでした。

ギフテッドを鑑賞後にはクリス・エヴァンス演じるフランクが無条件でその座を奪う結果に!

すっかりキャプテン・アメリカとして認知されたクリス・エヴァンスですが、
本作では人類にとってではなく「ひとりの女の子」にとっての本当のヒーローになる
という
これまた多くの女性(だけでなく男性も)のハートを崩壊させる役を演じきっており、
アベンジャーズでは決して見せることがなかった「心の底から苦悩し、失敗し、怒り、考える」姿は本作の純度をものすごく高めてくれています。

マーク・ウェブ監督は『アメイジング・スパイダーマン』『(500)日のサマー』を手がけており、大振りだけど緻密な作風((500)日のサマーは傑作)が目立っていたので、
スクリーンの前でいつクリス・エヴァンスが赤い円盤を手にするのか(オイオイ)と始めはハラハラしていたのですが、意外なことに、純粋な「ドラマ」に終始したことが驚きでした。

妙な仕掛けも、複雑な伏線もなく、ただひたすらに「大人の事情」と「ひとり子供の幸せ」とは何か?を問いかける。

この作品はわれわれ大人の『大いなる善意』が持つ二重螺旋についてこれでもか!というほど再考させてくれるでしょう。

・・・・・

わたし、実はほとんど他人に(家族にも)言ったことがなかったのですが、
よくニュースなどで話題になる、幼少の頃からある才能を伸ばすために、あらゆる自由を制限して、その世界のいわゆるプロになっていく人を見ると単純にすごいなと感心することはもちろんでしたが「本当にそれがその人が心の底から望んだ生活、人生、幸せ」なのか?と首を傾げる類の人間です。

それに子供の頃に「これはあなたのためだから」という言葉のもとに、言ってみれば行動を制約されたのが、ものすごく苦痛でした。
自立できないのですから、仕方のないことですがね。
その反動で社会に出てから変に理不尽な上役などに後先考えず一撃(笑)してしまい、
後悔したこともしばしば。
そして、自立してからのほうが何百倍も大変だと気が付くのです。
自分で選び取った結果が現在。
満ち足りてはいないけど、これはこれでいい。
毎年増えていく税金や支払いに頭を悩ませながら、なんとか生きてます(笑)

もちろん、第一線で活躍している才能のある方とは、才能を開花させるために血の滲むような努力をしているということも知っています。
だからこそ、それに見合った”いろいろな対価”を得る権利も生まれるわけで。

その連鎖はそれを見るわたしたちに希望を与えてくれるのですが、
一方でその成功譚、エピソードが独り歩きして「あなたも、かくあれかし」と誰かを縛ってしまう鎖になってしまっていないでしょうか?

英語もホントに素敵な言葉だなと単純に感じたのは、日本語なら「先天性な才能」という堅苦しい言葉を『贈り物≒Gifted』と表現していること。

世界にはそういう気まぐれな奇跡が実は結構溢れているんだと思う。

では、その素敵な贈り物は一体誰のものなのか?

本作で考えるべきなのは、コレなのです。

才能があるなら、才能を活かして、成功を、偉業を成し遂げるべき。

これには誰もが頷くとは思いますが・・・・

コレっていわゆる「大人の事情」じゃないですか?

というか、「こうあるべき」と刷り込まれている考え方ではないですか?

類まれな才能を持っているのは自分ではないのだから。

本作はひとりの幼い女の子をいわゆる「大人の事情」が勝手に振り回していく様をストレートに描いていきます。

と、書くと、登場する大人は全員悪者のようにみえてしまいますね。

訂正すると登場する大人は実は「誰も間違っていない」のです。

誰もがヒロインであるメアリーの「ためを思っている」のです。

冒頭でわたしが書いた「大いなる善意」とはこの事になります。

だけど、その善意には「思われる側」の気持ちは考慮されていない。
グサリと胸の奥に刺さった何かは「これは全部あなたのためだから」という善意の仮面に隠れている現実の悪意でした。

孤軍奮闘するクリス・エヴァンスがヒロインの女の子を頑なに「普通に育てたい」と願うのにはきちんとした理由があって、決して勝手ではない。

だけど「世間一般」という最小公倍数の世界では、クリスこそが非常識ではないか?と映し出してしまう。

その皮肉、その不条理、その怒り。

「やっぱり自分が間違いなのか」と打ちのめされる姿。

キャプテン・アメリカが負ける姿。

そして、才能を持ってしまったが故に大いなる善意に振り回される小さく純粋な心。

だからこそ、”大好きなおいたん”が選択したあのクライマックスが「アクションを伴わないアクション」として観る側のハートを打ち砕くのでしょう。

そう、苦悩するキャプテン・アメリカがわれわれ大人に向かって投じたヴィブラニウムの盾はそんな常識を砕くのです。

だからあの子を救いに来たあの人の姿は、あんなにも切ないのでしょう・・・・

あぁ、駄目、書いているとまた涙が!?

わたしにはまだ思いを聞くべき「その子」には巡り合っていません。
だけどわたしはいつの日か「その子」が自分の意志をきちんと持ったら、
こう伝えると決めています。


何を選び、何をするのか。
たとえ家族が言ったとしても、決めるのは、選ぶのは君だ。
わたしたちは君よりも長く生きてしまった分、いろいろ嫌なことも知っている。
だから、口うるさく君に意見するだろう。
才能とは自分が気がつかない限り、他人が何万語を費やしても、伸びはしない。
だけど、自分ですべてを受け入れられる覚悟があるのなら、君が全部決めていい。
そして何が起きるのか、君が誰より自分で確かめるべきだ。
たとえ何が起きても、自分の意志で選んだのなら受け入れる。
それが”好きに生きる”ということだ。
その繰り返しが、生きていくということだ。


クリス・エヴァンス、これ吹き替えではCV:中村悠一さんがまたやられるのかな。。。
本作のクリス・エヴァンスこそ、中村悠一さんボイスで楽しんでみたい。
そして、あのシーンを観て、余計に泣くんだろうけど(汗)

そうそう、『ドリーム』でも好演したオクタビア・スペンサーも、メアリーのお友達としてものすごく素敵な役どころを演じていますヨ。

ともあれ、この映画を見て「自分以外の誰かにとっての幸せ」についてもう一度考えてみるのもいいでしょう。

本当にオススメな一本です。

2017年映画鑑賞 211本目

post from #pixelbook

◆overview◆


・原題:Gifted 2017年公開
・上映時間:101分

・監督:マーク・ウェブ
代表作:『アメイジング・スパイダーマン』『(500)日のサマー』
・脚本:トム・フリン
     

・メイン・キャスト
クリス・エヴァンス
マッケンナ・グレイス
ジェニー・スレイト
リンゼイ・ダンカン
オクタビア・スペンサー

2017/09/30

映画_ドリーム 感想(評価/★:4)~ゴージャス、デリシャス、デカルチャー~【映画レビュー】

映画『ドリーム』予告A

映画『ドリーム』公式アカウント。 2017年 第89回アカデミー賞3部門(作品賞、助演女優賞、脚色賞)ノミネート 宇宙開発史上の偉業を支え、新しい時代を切り開いた知られざる3人の女性がいた―― 【2017年9月29日(金)全国ロードショー】 ▼公式Facebookページ https://www.facebook.com/20thFOXjp/ ▼公式Twitter ...

映画 ドリーム Hidden Figures

◆ドリーム / Hidden Figures 鑑賞◆


評価/オススメ:★★★★

文月的採点(44/50点)
この作品ジャンルは?:ヒューマンドラマです。

オススメしたい人は?:すべての働く人達。目標に向かって進んでいる人。

印象を一言で?:本年度屈指の勇気の出る映画!

重い話ですか?:実は宇宙開発というのは作品のエッセンスのひとつで、見どころはいろいろな偏見と戦う女性たち、人間たちの物語。テーマは重いですが、天真爛漫なキャストたち明るさがそれを見事に中和しています。

◆synopsis◆


東西冷戦下、アメリカとソ連が熾烈な宇宙開発競争を繰り広げている1961年。
ヴァージニア州ハンプトンのNASAラングレー研究所では、優秀な頭脳を持つ黒人女性たちが“西計算グループ”に集い、計算手として働いていた。

リーダー格のドロシー(オクタヴィア・スペンサー)は管理職への昇進を希望しているが、上司ミッチェル(キルスティン・ダンスト)に「黒人グループには管理職を置かない」とすげなく却下されてしまう。

技術部への転属が決まったメアリー(ジャネール・モネイ)はエンジニアを志しているが、黒人である自分には叶わぬ夢だと半ば諦めている。

幼い頃から数学の天才少女と見なされてきたキャサリン(タラジ・P・ヘンソン)は、黒人女性として初めてハリソン(ケビン・コスナー)率いる宇宙特別研究本部に配属されるが、白人男性だらけである職場の雰囲気はとげとげしく、そのビルには有色人種用のトイレすらない。

それでも、それぞれ家庭を持つ3人は公私共に毎日をひたむきに生き、国家の威信をかけたNASAのマーキュリー計画に貢献しようと奮闘していた。

※公式HPより

※ネタバレ防止に付き、一部文月によりカット

◆comment◆


日本では2017/9/29より公開。文月は幸運にも公開初日に鑑賞できました。
監督はわたしのおすすめ作品のひとつである
『ヴィンセントが教えてくれたこと』のセオドア・メルフィ。

→文月の過去の紹介記事(この頃はまだ短いポスト)
『ヴィンセント~』で不覚にもおいおいと泣いてしまって以来のファンです。

よって、今回の作品は不安もなにもなく安心して劇場に足を運べました。

不安、といえば、この作品は邦題を巡って一悶着あったことを覚えていらっしゃる方も多いでしょう。
わたしも以前の投稿で言及しました。

→文月の過去の紹介記事

本作はマーキュリー計画を題材とした作品。

つまり、『ライトスタッフ』達を支えた多くの人達、とりわけ理不尽なしがらみを乗り越えて業績を残した女性達の物語です。

光と陰。

言ってみれば、ローグ・ワン/スター・ウォーズストーリーの様に、これまであまり語られなかった外伝として捉えることもできますが、実話であることが本作のミソです。

よって、わたしは本作を鑑賞した後に改めて『ライト・スタッフ』を観てみるつもりです。


映画 ライト・スタッフ


『ライト・スタッフ』予告編

The Right Stuff (1983) Official Trailer - Ed Harris, Dennis Quaid Movie HD

The Right Stuff (1983) Official Trailer - Ed Harris, Dennis Quaid Movie HD Subscribe to CLASSIC TRAILERS: http://bit.ly/1u43jDe Subscribe to TRAILERS: http://bit.ly/sxaw6h Subscribe to COMING SOON: http://bit.ly/H2vZUn Like us on FACEBOOK: http://bit.ly/1QyRMsE Follow us on TWITTER: http://bit.ly/1ghOWmt The story of the original Mercury 7 astronauts and their macho, seat-of-the-pants approach to the space program.


●ドリームとは?

さて、本作が描いているのは、マーキュリー計画の最大の難所であったアメリカ初の有人地球周回飛行が成功するまでの過程です。

しかしながら、意外と扱っているテーマは重いのです。

オープニングからいきなりそのものずばりの人種差別女性蔑視から始まり、
職場でのしがらみ嫌がらせ困難な課題への挑戦。

仕事を通して、そして私生活を通して、浮き上がっては頭を悩ませる現実という壁。

生きること≒働くこと というのは多くの人が共通して抱えているものですが、

この作品も『誰もおそらくが毎日感じていること』を映し出しています。

何かすごいことをした遠い国の本当にいた人のお話、という目だけで観られる人は少ないし、逆にもったいないですよ。

こう書かなくても、自分の生活とダブってしまう方は多いのではないのでしょうか(笑)


●主軸となる3人のレイディはこちら↓

(画像クリックで拡大されます)
映画 ドリーム Hidden Figures 主人公

3人とも、優れた才能を持ちながら『何かを耐えている』姿は印象的です。

彼女たちが身内だけに見せる素の姿と外での『ツン』とした態度。
どうしてそんな態度を取るのかはまさしく、
彼女たちが『耐えている』ものに起因しています。

●そんな彼女たちと関わることになる人達はこちら↓

(画像クリックで拡大されます)
映画 ドリーム Hidden Figures 相関図


面白いことに、彼らの姿勢、見識が『2対2』で別れているのも見どころです。


誰もが抱えているものと同じ、と書いたのには理由があって、

有色人種である3人の主人公だけでなく、彼女たちと関わる彼らも悩み、苦しみ、耐えているからなのです。

性別や人種など関係なく、自分の才能を活かせるところを掴み取れるということは、理屈なようで理屈でない、とんでもない事なのです。
多くの人が、何かを諦め、何かに苦しんで過ごしている。

わたしだって同じです。

ただ、今よりもはるかに不自由で理不尽なしがらみの中で、決して諦めなかった人たちがいた。

簡単に一括りにはできないし、映画として造られた以上、作中彼女たちが直面する差別という名の現実は、本当はもっと凄まじいものであったはず。

キング牧師のあの時代なのです。

それでもこの作品を明るくしているのは最高に明るくて、そして強く、デカルチャーでタフなレイディ達の姿に他なりませんな。

自分の居場所は、自分で勝ち取るもの。

そして居場所は自分でつくるもの。

つらい状況は誰にでも起こり得て、そしてその中で再起不能に陥ってしまうこともあるのだけど、

そんな時でも劇中のキャサリンのように背筋を伸ばし、

ドロシーのように図太く学び、

メアリーの様に不敵に挑む。

『ドリーム』という邦題を考えたライターさんなり、配給会社さんとしては、

彼女たちが魅せた不屈の姿に『古き良き健全なアメリカン・ドリーム』(頑張って金持ちになりましたというのではない)を見たのだろうなと考えました。

ま、『新感染』とかいう、座布団全部持っていかれそうなのボロクソタイトルと比べれば、まあアリですな。
(誤解のないように。『TRAIN TO BUSAN』はマ・ドンソクのタフガイぶりに最高に燃えた口です。はい。わたしがケチを付けているのはこの邦題。何が「新しい感染」なのか、
詳細なレポートを提出してもらいたいくらい個人的には憤ってます)


人類初の有人飛行を成し遂げた人。

アメリカ人初の地球周回軌道飛行を成し遂げた人

その陰に、アメリカの黒人女性初の偉業を成し遂げた女性がいた。

エンドロールが「良かったね!めでたし、めでたし」だけでなく
しっかりと彼女たちにフォーカスして終わります。

観る側としては、それをしっかりと心に刻むことで真のエンディングを迎えられることでしょう。


●ちなみに

IBMの特設サイトには、主人公の彼女達にフォーカスした動画もあって、改めてすごいことをした人達なんだなと脱帽しちゃいます。興味のある方は御覧ください。


しかし本作は『走る、走る』

観客席から立ち上がって応援したくなるくらい、走る。

象徴的なシーンなので必要な描写なのですが、

あたし、仕事中にあんなに走ったら、すぐに早退します。


2017年映画鑑賞 160本目


次回予告、『コノヤロー!バカヤロー!』なあの映画です(笑)

◆overview◆


・原題:Hidden Figures 2016年アメリカ公開
・上映時間:127分

・監督:セオドア・メルフィ
代表作:『ジーサンズ はじめての強盗』『ヴィンセントが教えてくれたこと』

・脚本:セオドア・メルフィ アリソン・シュローダー
     
・メイン・キャスト
タラジ・P・ヘンソン
オクタビア・スペンサー
ジャネール・モネイ
ケビン・コスナー

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第7並行世界のユートピア

物語の海に溺れる中で、フレーズ、イメージを繋ぎ合わせて生まれた短いストーリー達を文月陽介が書き留めます。 特定のジャンル、モチーフにこだわらずに、ひとつひとつの物語を紡いでいます。 ※筆者の気まぐれにより不定期更新です。

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